監修・執筆:薬剤師 メイ
調剤歴15年(製薬会社研究職→調剤薬局・管理薬剤師・在宅薬剤師)。3人の子を育てるママ薬剤師。服薬指導数千件の経験をもとに、正確でわかりやすい薬の情報を発信しています。|プロフィール詳細
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📌 結論:PMSの市販薬は「どの症状がいちばんつらいか」で選び分けます
PMS(月経前症候群)は生理の3〜10日前から始まり、生理が来ると軽くなるのが特徴です。市販薬は症状のタイプごとに向き不向きがはっきりしています。効果の判定には時間がかかるものが多いので、あわてず数か月単位で見てください。
- PMS全体に働きかけたい → チェストベリー配合薬(第2類医薬品。購入時に薬剤師・登録販売者へ相談を)
- イライラ・落ち込みが中心 → 加味逍遙散(かみしょうようさん)などの漢方
- むくみ・冷え・だるさ → 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)/五苓散(ごれいさん)
- 頭痛・下腹部痛が中心 → 解熱鎮痛薬(がまんせず早めに)
- 仕事や人間関係に支障が出ている → 市販薬より受診(低用量ピルという選択肢があります)
「生理前になると別人みたいにイライラして、家族に当たってしまうんです」
「そのあと自己嫌悪で、また落ち込んで」
薬局で、そっと打ち明けられることの多いお悩みです。
先に、お伝えします。
PMSは性格の問題でも、気合いの問題でもありません。ホルモンの変動によって起こる、体の反応です。
そして市販薬でできることが、実はかなりあります。
症状のタイプ別の選び方を、整理してお伝えします。
PMSとは?まず「自分がそうか」を確かめる
PMS(月経前症候群)は、生理が始まる3〜10日ほど前から現れ、生理が始まると軽くなったり消えたりする心と体の不調のことです。
この「生理が来ると楽になる」という点が最大の手がかりです。もし症状が生理と関係なくずっと続いているなら、それはPMS以外の原因を考えたほうがいいサインです。
| 体の症状 | 心の症状 |
|---|---|
| 乳房の張り・痛み | イライラ・怒りっぽくなる |
| 下腹部の痛み・張り | 気分の落ち込み・涙もろさ |
| むくみ・体重増加 | 不安・緊張感 |
| 頭痛・腰痛 | 集中力の低下 |
| 強い眠気または不眠 | 何もやる気が出ない |
| 肌荒れ・ニキビ | 甘いものが無性に食べたくなる |
| 便秘または下痢 | 人に会いたくなくなる |
💊 薬剤師のポイント:まず2〜3か月「記録」をつけてください
薬より先に効くことがあります。それが症状の記録です。カレンダーやアプリに「生理の日」と「つらかった症状・その強さ」を2〜3か月つけるだけで、自分のパターンが見えてきます。
「毎月13日ごろから来るんだ」とわかるだけで、大事な予定を外す・その週は無理をしないという対策が打てます。そして受診したときも、この記録があると診断がとても早く正確になります。まずここから始めてください。
PMDD(月経前不快気分障害)は別に考える
PMSの中でも、心の症状が特に重く、日常生活や人間関係に支障が出るものはPMDDと呼ばれます。
⚠️ 市販薬でがんばらず、受診してください
①仕事や学校を休んでしまう②家族やパートナーとの関係が壊れそう③消えてしまいたい、死にたいと感じる④自分をコントロールできない感覚がある——これらに当てはまるときは、市販薬で様子を見る段階ではありません。婦人科・心療内科を受診してください。低用量ピルや、症状に応じた薬など、市販にはない有効な選択肢があります。
「こんなことで病院に行っていいのか」と思われる方が多いのですが、PMDDは治療の対象になる状態です。がまんする必要はありません。
症状タイプ別・市販薬の選び方
| いちばんつらい症状 | 選ぶ薬 | 効き方 |
|---|---|---|
| PMS全般(複数の症状) | チェストベリー配合薬(第2類医薬品) | ゆっくり。3か月ほど続けて判定 |
| イライラ・怒り・落ち込み | 加味逍遙散/抑肝散 | 数週間〜。体質に合うかが大事 |
| むくみ・冷え・だるさ・貧血ぎみ | 当帰芍薬散 | 数週間〜 |
| のぼせ・肩こり・血の巡りが悪い | 桂枝茯苓丸 | 数週間〜 |
| むくみが特に強い | 五苓散 | 比較的早い |
| 頭痛・下腹部痛・腰痛 | 解熱鎮痛薬(イブ・ロキソニンSなど) | すぐ。がまんせず早めに |
| 生理前後の不調全般 | 生薬配合の女性向け市販薬(命の母ホワイトなど) | ゆっくり |
①チェストベリー配合薬(PMSそのものに向き合う薬)
チェストベリー(西洋ニンジンボクの果実)を配合した第2類医薬品があります。日本の市販薬の中で、PMSの諸症状を効能としている数少ない薬です。
発売当初は第1類医薬品でしたが、現在は第2類医薬品に変わりました。薬剤師のいない時間帯でも、登録販売者から購入できます。ただし使える年齢や、使ってはいけない方の条件は変わっていません。下の確認事項に当てはまらないかを見てから購入してください。
⚠️ 購入前に必ず確認されること
①年齢制限があります(若い方は使えません)②妊娠中・妊娠の可能性がある方・授乳中は使えません③ホルモンに関わる薬を使用中の方、乳がんなどの既往がある方は使えないことがあります④3か月使って改善しない場合は受診が必要です
これらは製品によって条件が異なります。購入時に薬剤師が必ず確認しますので、正直にお答えください。「めんどうだから」と黙って買うと、ご自身が損をします。
②漢方薬(体質から整える)
PMSに漢方がよく使われるのには、理由があります。
「イライラ」「むくみ」「冷え」といった、西洋薬では狙いにくい症状に届くからです。
ただし漢方は体質との相性で選びます。症状名だけで決めないでください。
| 漢方 | 向いている方のイメージ |
|---|---|
| 加味逍遙散 (かみしょうようさん) | イライラ、気分の浮き沈みが激しい、のぼせ、疲れやすい |
| 当帰芍薬散 (とうきしゃくやくさん) | 冷え・むくみ、色白で疲れやすい、貧血ぎみ |
| 桂枝茯苓丸 (けいしぶくりょうがん) | のぼせるのに足は冷える、肩こり、体力は中くらい以上 |
| 抑肝散 (よくかんさん) | 怒りっぽい、気が高ぶって眠れない |
| 五苓散 (ごれいさん) | むくみ、頭痛、体の水分の巡りが悪い |
更年期の不調にも同じ漢方が使われます。選び方の考え方はこちらが参考になります。→ 更年期の漢方・市販薬の選び方|命の母・加味逍遙散を解説/冷え性の薬の選び方|体質別の漢方の選び分け
漢方は最低でも2週間〜1か月、できれば2〜3周期続けて判断してください。1回飲んで効かないからと変えてしまうと、合う薬にたどり着けません。
③痛みには、がまんせず鎮痛薬を
生理前の頭痛や下腹部痛には、市販の解熱鎮痛薬が使えます。
こつは、飲むタイミングです。
「痛くなってから」ではなく「痛くなりそうなとき」。痛みが強くなってからだと、効きにくくなります。
成分ごとの違いはこちらで比較しています。→ 生理痛の市販薬、どれが効く?イブ・ロキソニンS・バファリンを比較/頭痛薬の正しい選び方|薬物乱用頭痛にも注意
ただし鎮痛薬を月に10日以上飲む状態が続くなら要注意です。かえって頭痛が起きやすくなる「薬物乱用頭痛」につながることがあります。その場合は受診してください。
受診すると使える「市販にはない選択肢」
PMSがつらい方に、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。婦人科では低用量ピル(OC・LEP)という選択肢があります。
PMSは排卵後のホルモン変動が関係しているため、排卵を抑えることで症状そのものが起きにくくなるという考え方です。市販薬では手が届かない領域で、効果を実感される方が多くいらっしゃいます。
「ピル=避妊」というイメージが、いまも強いですよね。
でも月経困難症やPMSの治療として、保険が使えるものもあります。
市販薬を何か月も試して改善しないなら、一度婦人科で相談してみる価値は十分にあります。
薬と一緒にやると効くセルフケア
- 症状を記録する:くり返しになりますが、これがいちばん効きます
- カフェイン・アルコールを控える:生理前の1週間だけでも。イライラや乳房の張りが軽くなる方がいます
- 塩分を控える:むくみが強い方は効果を感じやすいです
- 甘いものは少しずつ:血糖値の乱高下がイライラを強めます。我慢ではなく「小分けに」
- 軽い有酸素運動:ウォーキング20〜30分。気分の症状に有効とされています
- 睡眠を優先する:寝不足はPMSを確実に悪化させます
- 家族に伝えておく:「今週はPMSの週」と共有できると、自分も相手も楽になります
こんなときは受診を
- 市販薬を3か月試しても改善しない
- 仕事・学校・家庭生活に支障が出ている
- 気分の落ち込みが強い、消えたいと感じる(早めに受診してください)
- 症状が生理と関係なく続いている(PMS以外の原因を調べる必要があります)
- 生理痛が年々ひどくなっている(子宮内膜症などが隠れていることがあります)
- 鎮痛薬を月10日以上使っている
よくある質問(FAQ)
Q. PMSの市販薬は毎日飲むもの?生理前だけ?
A. 薬によって違います。チェストベリー配合薬や漢方は毎日続けて飲む設計のものが多く、鎮痛薬は症状があるときだけです。必ず製品の用法を確認してください。
Q. 漢方と鎮痛薬は一緒に飲めますか?
A. 一般には併用できることが多いですが、製品によって注意が必要な組み合わせもあります。複数の市販薬を使うときは、パッケージを持って薬剤師に確認してください。
Q. サプリメントでもいいですか?
A. カルシウム、マグネシウム、ビタミンB6などがPMSに関連して話題になります。ただしサプリは医薬品ではなく、効果をうたえません。まず食事と睡眠を整え、それでもつらいなら医薬品を検討するほうが確実です。→ 市販のサプリを選ぶ前に確認すべき5つのこと
Q. 命の母ホワイトと命の母Aは何が違うの?
A. おおまかに「ホワイト」は生理前後の不調を含む若い世代向け、「A」は更年期の症状向けという位置づけです。配合されている生薬が異なります。年代と症状で選び分けてください。
Q. 年齢とともにPMSは変わりますか?
A. 変わります。30代後半〜40代で症状が重くなる方もいれば、軽くなる方もいます。また40代以降は更年期の症状と重なって区別がつきにくくなることがあります。「生理が来ると楽になるか」が見分けの手がかりです。
Q. 効果が出るまでどのくらいかかりますか?
A. 鎮痛薬はすぐですが、チェストベリー配合薬や漢方は数週間〜3か月かかります。PMSは月に1回しか症状が出ないため、判定に時間がかかるのは避けられません。最低でも2〜3周期は続けてみてください。
まとめ
- PMSは生理の3〜10日前から始まり、生理が来ると軽くなるのが特徴
- 薬より先に2〜3か月の記録を。自分のパターンがわかるだけで対策できる
- PMS全般 → チェストベリー配合薬(第2類医薬品)
- イライラ → 加味逍遙散/むくみ・冷え → 当帰芍薬散
- 痛みはがまんせず、早めに鎮痛薬を
- 効果判定には2〜3周期かかる。1回で判断しない
- 生活に支障が出ている・気分が落ち込むなら受診を。低用量ピルという選択肢があります
PMSは「みんな我慢していること」と思われがちです。
でも、対処法のある不調です。
毎月10日近くをつらい気持ちで過ごす。これは年間にすると、4か月分です。
まずは記録から。できることを、ひとつずつ試してみてくださいね。
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この記事を書いた人
メイ|現役薬剤師(調剤歴15年)・FP2級
製薬会社の研究職から調剤薬局へ転職し、岩手で管理薬剤師を経験。現在は東京で3人の子どもを育てながら、施設在宅をメインにパート薬剤師として働いています。数千件の服薬指導で実際に受けたご質問をもとに、「難しい薬の知識をわかりやすく」をモットーに発信しています。
※本記事は薬剤師による一般的な情報提供を目的としており、個別の医療アドバイスではありません。気になる症状・服薬内容については必ず担当医・薬剤師にご相談ください。

