監修・執筆:薬剤師 メイ
調剤歴15年(製薬会社研究職→調剤薬局・管理薬剤師・在宅薬剤師)。3人の子を育てるママ薬剤師。服薬指導数千件の経験をもとに、正確でわかりやすい薬の情報を発信しています。|プロフィール詳細
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📌 結論:手荒れは「今どの段階か」で塗る薬が変わります
同じ手荒れでも、カサつきの段階・赤くかゆい段階・ひび割れて痛い段階で選ぶ薬がまったく違います。とくにひび割れているのに尿素を塗ると激しくしみて悪化します。段階に合わせて使い分けてください。
- カサカサ・ゴワゴワ(傷なし) → 尿素またはヘパリン類似物質
- 赤み・かゆみがある → ステロイド外用薬で炎症を抑えてから保湿
- ひび割れ・あかぎれで痛い → ワセリンや軟膏で保護+液体絆創膏。尿素は使わない
- 指の間の水ぶくれ・左右どちらかだけ → 水虫やほかの病気のことも。市販薬を塗る前に受診
「毎年冬になると、手がボロボロで。ハンドクリームを塗っても追いつかないんです」
水仕事の多い方から、本当によくいただくご相談です。
手荒れは、進み方の段階によって必要な薬が変わります。
ところが多くの方が、同じハンドクリームを塗り続けて悪化させてしまうんです。
この記事では、段階ごとの選び方を整理します。
なぜ冬に手が荒れるのか
手のひらや指先には、皮脂を出す腺がほとんどありません。
つまり、もともと乾燥に弱い場所なんです。そこに、次の要因が重なります。
- 洗剤・お湯:皮脂とうるおい成分(セラミドなど)を洗い流してしまう
- 空気の乾燥:冬は水分が奪われやすい
- 血行不良:寒さで指先の血流が落ち、皮膚の回復が遅れる
- 摩擦:拭く・こする・紙を扱う
バリアが壊れた皮膚は、さらに刺激を受けやすくなります。
そして「乾燥」→「手湿疹」→「ひび割れ」と進んでいきます。
放っておくほど、戻すのが大変になります。
段階別・市販薬の選び方
| 段階 | 状態 | 選ぶもの |
|---|---|---|
| ①乾燥 | カサカサ、ゴワつく、皮がむける | 尿素(10〜20%)/ヘパリン類似物質/ワセリン |
| ②手湿疹 | 赤み・かゆみ、ブツブツ、皮膚が厚くなる | ステロイド外用薬(短期)→ 落ち着いたら保湿へ |
| ③ひび・あかぎれ | 割れて痛い・血がにじむ | ワセリン・保護軟膏/液体絆創膏/ビタミンE・A配合薬 |
| ④要注意 | 水ぶくれ、膿、左右非対称、爪の変形 | 市販薬を塗る前に皮膚科へ |
①乾燥の段階:尿素かヘパリン類似物質
尿素は硬くなった角質をやわらかくする働きがあり、ゴワついた手やささくれに向きます。ただし傷やひび割れがあると激しくしみます。
ヘパリン類似物質は保湿に加えて血行促進の働きがあり、しみにくいのが利点です。ひび割れの一歩手前や、尿素がしみる方に向きます。→ ヘパリン類似物質の市販薬はどう選ぶ?ヒルドイドとの違い
💊 薬剤師のポイント:尿素がしみたら、それは「乾燥」ではありません
窓口で「尿素クリームがしみて使えない」というご相談をよく受けます。これはすでに目に見えない細かい傷や炎症ができているサインです。しみるのを我慢して使い続けると悪化します。いったん尿素をやめて、ワセリンやヘパリン類似物質に切り替えてください。皮膚が落ち着いてから尿素に戻せば大丈夫です。
②赤み・かゆみがある段階:ステロイドで一度止める
赤くなってかゆい、ブツブツができている。
これは「手湿疹」という、炎症が起きている状態です。
保湿剤だけを塗り続けても、治りません。
ここではステロイド外用薬で炎症を止めてから、保湿で再発を防ぐのが正しい順番です。手のひらや指の皮膚は体の中でも厚いため、顔に使うような弱いランクでは効きにくいことがあります。市販薬の強さの選び方はこちら。→ 市販のステロイド外用薬の強さと選び方|ランク別に解説
ステロイドは「短期間しっかり使って、良くなったらやめる」のが基本。漫然と塗り続けるものではありません。1〜2週間使っても改善しないときは受診してください。
③ひび・あかぎれの段階:まず保護する
割れて出血する段階になったら、考え方を変えてください。
うるおいを与えるより、まず傷口を閉じて守ることが先です。
| 使うもの | 役割 | 注意 |
|---|---|---|
| 液体絆創膏 | 割れ目に膜を作って水や刺激から守る | 塗る瞬間はしみる。化膿しているところには使わない |
| ワセリン | 刺激なく保護する | 取れやすいので寝る前+手袋が効果的 |
| ビタミンE・A配合の軟膏 | 血行促進と皮膚の修復を助ける | 効果はゆるやか。継続して使う |
| 絆創膏・保護テープ | 物理的に守る | 蒸れに注意。こまめに交換 |
とくにおすすめなのが、「寝る前にたっぷり塗って、綿の手袋をして寝る」方法です。
夜のあいだ薬がとどまるので、翌朝の手触りが変わります。一度、試してみてください。
【重要】手荒れだと思ったら別の病気だったケース
ここは、いちばんお伝えしたいところです。
手荒れによく似ているのに、市販薬を塗ると悪化する病気があります。
⚠️ 市販のステロイドを塗る前に確認してください
手荒れによく似ていても、ステロイドを塗ると悪化するものがあります。次に当てはまるときは、塗る前に皮膚科で見てもらってください。
①片手だけ荒れている・皮がむける/足にも水虫がある
→ 手の水虫かもしれません(手白癬=てはくせん)。原因はカビなので、ステロイドを塗るとカビが増えて悪化します。
②指の間や爪のまわりが、赤くジュクジュクする
→ カンジダというカビの仲間が原因のことがあります。これもステロイドで悪化します。
③手のひらや指の横に、小さな水ぶくれがたくさんできる
→ 汗疱(かんぽう)という湿疹かもしれません。汗が関係してできるもので、手荒れとは治し方が違います。
④手のひらに、膿を持ったブツブツが繰り返しできる
→ 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)という別の病気のことがあります。
いちばんわかりやすい目印は「左右どちらか一方だけ」かどうか。ふつうの手荒れは両手が同じように荒れます。片手だけのときは、別の原因を疑ってください。
→ 水虫の薬の選び方|ラミシール・ブテナロック・ダマリンを比較
薬より効くこともある「荒れない工夫」
- ゴム手袋の下に綿の手袋:ゴム手袋だけだと蒸れて逆効果。綿を1枚はさむのが正解
- お湯の温度を下げる:熱いお湯ほど皮脂が奪われます。ぬるま湯で
- 拭くときはこすらず押さえる:摩擦もダメージになります
- 手を洗ったら毎回塗る:1日5回でも10回でも。塗る回数がそのまま結果になります
- 洗剤を見直す:食器用洗剤は手にしみるものも。低刺激タイプへの変更も検討を
- アルコール消毒のあとは特に保湿:油分も一緒に飛んでいます
こんなときは受診を
- 市販薬を2週間使っても改善しない
- 左右どちらか一方だけに症状がある
- 水ぶくれ・膿がある、ジュクジュクしている
- 爪が変形している・厚くなった(爪の水虫や乾癬のことがある)
- 痛くて仕事や家事に支障がある
- 毎年繰り返している(処方薬のほうが結果的に早く安く済むことが多いです)
よくある質問(FAQ)
Q. 市販のハンドクリームと「医薬品」の手荒れ薬は何が違う?
A. 化粧品のハンドクリームは乾燥を防ぐのが目的、医薬品は荒れた皮膚を治すのが目的です。すでにひび割れや赤みがあるなら、パッケージに「第2類医薬品」「第3類医薬品」と書かれたものを選んでください。
Q. 尿素20%と10%、どちらを選べばいい?
A. 20%はかかとなどの厚い角質向け、10%は手や体向けが目安です。手に20%を使うとしみることがあります。まず10%から試してください。
Q. ビタミン剤を飲むと手荒れに効きますか?
A. ビタミンB2・B6は皮膚や粘膜の健康を保つのに関わり、市販の「皮膚の薬」に配合されています。ただし飲むだけで手荒れが治るわけではありません。塗る薬と保護が主役で、内服は補助と考えてください。
Q. 液体絆創膏がしみて使えません。どうすればいいですか?
A. アルコール成分によるもので、塗った直後の数秒がピークです。どうしてもつらい場合は、傷用の保護パッドやワセリン+絆創膏で代用してください。無理に使う必要はありません。
Q. ステロイドを手に使うのが怖いのですが、大丈夫ですか?
A. 短期間、必要な場所にだけ使う分には心配いりません。むしろ怖がって使わず炎症を長引かせるほうが、皮膚は厚く硬くなって治りにくくなります。「良くなったらやめる」を守れば大丈夫です。
まとめ
- 手荒れは段階によって薬を変える。同じクリームを塗り続けない
- カサカサ → 尿素/ヘパリン類似物質
- 赤み・かゆみ → ステロイドで短期に止めてから保湿
- ひび・あかぎれ → 保護が優先。尿素はしみるので使わない
- 片手だけ・水ぶくれ・膿は手荒れ以外の病気を疑って受診
- 手を洗うたびに塗る。寝る前+綿手袋が効果的
手荒れは「体質だから仕方ない」と、あきらめている方が多い症状です。
でも、段階に合った薬を選べば変わります。
いまの状態を見きわめて、痛みのない冬を過ごしてくださいね。
おすすめ市販薬
段階に合わせて選んでください。傷やひび割れがないカサカサには保湿剤、割れて痛いときは液体絆創膏で保護します。尿素はひび割れにしみるので、この段階では使わないでください。
💧 ヘパリン類似物質|カサカサ段階の保湿に
🩹 液体絆創膏|割れて痛いところの保護に

この記事を書いた人
メイ|現役薬剤師(調剤歴15年)・FP2級
製薬会社の研究職から調剤薬局へ転職し、岩手で管理薬剤師を経験。現在は東京で3人の子どもを育てながら、施設在宅をメインにパート薬剤師として働いています。数千件の服薬指導で実際に受けたご質問をもとに、「難しい薬の知識をわかりやすく」をモットーに発信しています。
※本記事は薬剤師による一般的な情報提供を目的としており、個別の医療アドバイスではありません。気になる症状・服薬内容については必ず担当医・薬剤師にご相談ください。

