かかりつけ薬剤師はパートでもなれる?要件を自分に当てはめてみた

かかりつけ薬剤師はパートでもなれる?週35時間のパートの私に要件を当てはめてみた 薬剤師転職

「かかりつけ薬剤師は、常勤の人がなるもの。」

私は、長いあいだ、そう思っていました。

では、パートの薬剤師は、なれないのでしょうか。

調べてみると、答えは少し違いました。

私は、調剤歴15年。いまは東京の薬局で、週35時間、パートとして働いています。でも、かかりつけ薬剤師ではありません。

その理由を、厚生労働省の資料にある要件で、ひとつずつ確認してみました。この記事は、要件を、パートの私に当てはめた記録です。

内容は、令和8年6月1日に施行された診療報酬のルールにもとづいています。改定で変わることがあるので、出典は記事の中ほどにまとめました。

📝 この記事でわかること

  • パートでも、かかりつけ薬剤師になれるのか
  • 個人の要件5つと、週35時間のパートの私に当てはめた結果
  • 薬局の側にも条件があること
  • 令和8年6月から、かかりつけ薬剤師まわりで変わったこと
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1. 結論:パートという理由だけで、除外されてはいません

厚生労働省の資料にあるかかりつけ薬剤師の要件に、「常勤」「正社員」という言葉は出てきません。出てくるのは、勤務時間です。

✅ 先に結論

  • 見るのは雇用形態ではなく、週31時間以上勤務しているかどうか
  • 育児・介護休業等の措置で短縮されている場合は、週24時間以上かつ週4日以上
  • 個人の要件は5つ:勤務経験3年以上/週31時間以上/在籍6か月以上/研修認定/地域活動
  • 薬局が届出をしていることも必要。本人が満たしていても、薬局の届出がなければ始まらない

つまり、「パートだから、なれない」わけではありません。ただ、「なれる」と言い切れるのは、個人の要件までです。

2. 個人の要件5つと、週35時間のパートの私

要件は、厚生労働省の「令和8年度調剤報酬改定の概要」に載っています。私に当てはめると、こうなりました。

要件内容私の場合
保険薬局での勤務経験3年以上○(調剤歴15年)
勤務時間当該薬局に週31時間以上○(週35時間)
在籍当該薬局に継続して6か月以上○(現職3年目)
研修認定薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定△(研修認定制度の資格はある。対象の制度かは確認が必要)
地域活動医療に係る地域活動の取組に参画×(いまの薬局に転職後は参加していない)
薬局の届出かかりつけ薬剤師として服薬管理指導を行う旨の届出×(私の薬局は届出をしていない)

個人の要件のうち、勤務・在籍・研修認定は満たせそうです。足りないのは、地域活動と、薬局の届出でした。

ひとつずつ、見ていきます。

① 保険薬局での勤務経験は、3年以上

保険薬剤師として、保険薬局での勤務経験が3年以上必要です。病院など保険医療機関での薬剤師の経験が1年以上あれば、1年を上限に、この期間に含められます。

私は調剤歴15年なので、この要件は満たしています。

② 週31時間以上の勤務

その薬局に、週31時間以上勤務していることが要件です。育児・介護休業等の措置で所定労働時間が短縮された場合は、週24時間以上かつ週4日以上です。

週31時間は、1日6時間なら、週5日で30時間。届きません。1日7時間で週5日なら35時間です。

パートだから、だめなのではありません。ただ、勤務時間が短めのパートの方は、ここが壁になりやすいと思います。

私は週35時間なので、この要件は満たしています。

③ 在籍は、6か月以上

届出の時点で、その薬局に継続して6か月以上在籍していることが要件です。産前産後休業、育児休業、介護休業から復職する場合は、休業前と同じ薬局であれば、休業前の在籍期間を足せます。

もうひとつ、見落としやすい点があります。届出の様式には、継続在籍期間は、週31時間以上勤務した期間のみを通算すると書かれています。

つまり、パートから勤務時間を増やした方は、増やしてからの期間で数える、ということだと読めます。

私は現職3年目なので、この要件は満たしています。

④ 研修認定

薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の、研修認定を取得していることが要件です。届出のときは、取得を確認できる文書を添えます。

私は、研修認定制度の認定薬剤師の資格を持っています。ただ、どの認定でも対象になるとは限りません。自分の認定が、認証機構が認証している制度に当たるか。ここは、確認が必要です。

⑤ 医療に係る地域活動への参画

届出のときは、届出時までの過去1年間に、医療に係る地域活動の取組に主体的に参加していることがわかる文書を添えます。文書には、事業の概要、参加人数、場所と日時、その活動へのかかわり方などを書きます。

何が「地域活動」に当たるのか。令和8年の資料では、具体例を確認できませんでした。2016年に制度ができたときは、地域ケア会議や、薬と健康の週間などが例に挙がったと報じられています。ただ、いまも同じかは、薬局や地方厚生局に確認してください。

また、届出のあとも参加を続ける必要があるのか、どのくらいの頻度で参加すればよいのかは、私が読んだ資料には書かれていませんでした。要件の文言は「参画していること」です。ここも、薬局や地方厚生局に確認してください。

私は、いまの薬局に転職してから、地域活動に参加したことがありません。ここが、私に足りない点です。

3. 薬局の側にも、条件があります

かかりつけ薬剤師は、本人だけでは決まりません。薬局にも、次の条件があります。

🏢 薬局の条件

  • 週31時間以上勤務する薬剤師の平均在籍期間が1年以上、または、管理薬剤師が3年以上継続して在籍している
  • 患者さんとの会話が他の患者さんに聞こえないよう、パーテーションなどで区切られた独立したカウンターがある
  • かかりつけ薬剤師として服薬管理指導を行う旨の、届出をしている

私が勤めている薬局は、この届出をしていません。だから、いまの私は、本人の要件を満たせても、かかりつけ薬剤師として算定する形にはなっていません。

もうひとつ、届出の様式の注意書きに、こうあります。短時間勤務に当たる薬剤師だけでは、届出を出せません。勤務時間の要件を満たす薬剤師が、ほかにも必要です。

4. かかりつけ薬剤師は、何をするのか

私は、かかりつけ薬剤師として患者さんの同意を得たことがありません。だから、ここは、通知(留意事項)に書かれている内容をまとめます。

📋 通知に書かれている、かかりつけ薬剤師の主な内容

  • 患者さんが選ぶ。薬剤師本人が、かかりつけ薬剤師の業務内容や意義を説明して、同意を得る(複数回来局している患者さんが対象)
  • 同意を得たら、お薬手帳に「かかりつけ」と書き、そのページのコピーなどを薬局で保管して、薬歴にも記録する
  • 1人の患者さんにつき、1か所の薬局の、1人の薬剤師だけ
  • 患者さんが受診しているすべての医療機関の情報と、飲んでいる処方薬、市販薬、健康食品などを把握して、薬歴に書く
  • 休日・夜間を含む相談に応じる体制をとり、開局時間外の連絡先を伝える
  • かかりつけ薬剤師が不在のときは、ほかの薬剤師が対応し、情報を共有する(この場合は、かかりつけの区分では算定しない)

患者さんの薬を、ひとつの窓口で、継続して見ていく役割です。休日や夜間の連絡先を伝える点は、働き方にも関わります。

5. 令和8年6月から、変わったこと

かかりつけ薬剤師指導料は、なくなりました

「かかりつけ薬剤師指導料」と「包括管理料」は廃止されました。かわりに、服薬管理指導料の中に、「かかりつけ薬剤師が行った場合」の区分ができました。

ここで、意外なことがあります。点数は、かかりつけの区分も、そうでない区分も同じです(再来局の場合は45点、それ以外は59点)。

つまり、「かかりつけだから、1回あたりの点数が高い」わけではありません。評価されるのは、そのあとの実績や加算です。

新しくできた加算

名前点数内容(概要)
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算50点(3月に1回)直近6か月に、外来服薬支援料1、服用薬剤調整支援料、調剤時残薬調整加算、薬学的有害事象等防止加算のいずれかを算定した患者さんに、求めに応じて、次の処方箋までの間に、電話等で服薬状況や残薬状況を継続して確認した場合
かかりつけ薬剤師訪問加算230点(6月に1回)求めに応じて患家を訪問し、服薬管理や残薬の確認を行い、結果を医療機関に情報提供した場合
服用薬剤調整支援料21,000点令和9年6月1日から。複数の医療機関から合計6種類以上の内服薬が処方されている患者さんについて、研修を修了したかかりつけ薬剤師が評価し、処方医に文書で提案した場合(6月に1回)

服用薬剤調整支援料2は、令和8年6月1日から令和9年5月31日までは算定できません。また、研修は、日本老年薬学会の老年薬学服薬総合評価研修会を修了しているか、老年薬学認定薬剤師であることが必要です。

残薬を調整した場合の加算と、薬学的有害事象等防止加算も、新しくできました。かかりつけ薬剤師が行った場合は50点で、それ以外の場合の30点より高く設定されています。

6. かかりつけ薬剤師のメリットとデメリット

薬局にとっては

薬局の施設基準(地域支援・医薬品供給対応体制加算)の実績の要件に、かかりつけ薬剤師の算定実績が入っています。薬局にも、かかりつけ薬剤師を必要とする理由があります。

薬剤師本人にとっては

手当や時給に反映されるかどうかは、会社次第です。私の薬局は、そもそも届出をしていないので、反映のしようがありません。

求められる役割は、増えます。時間外の相談に応じる体制、同意を得るための説明、不在のときの引き継ぎ。通知に書かれているのは、そういう内容です。

私は、加算を取るために仕事をしたくはありません。患者さんのために続けたことが、結果として評価につながる。その順番がいいと思っています。

7. 評価や時給の話につなげるなら

かかりつけ薬剤師であることを根拠に、時給の話をするのは、いまの私にはできません。届出がないからです。

ただ、会社に聞くことはできます。

💬 会社に聞けること(要求ではなく、確認)

  • かかりつけ薬剤師の届出をする予定はありますか
  • 届出をする場合、私が担当を任される可能性はありますか
  • 地域活動に参加できる機会は、会社にありますか

聞いたうえで、引き受けるかどうかは、そのときに考えれば十分です。

時給の見直しについては、12月の契約更新のあとにどうなったかを、あらためて書く予定です。→ 管理薬剤師を辞めてパートになった転職体験談|ママ薬剤師の年収も公開

出典

いずれも、令和8年6月1日施行時点の内容です。

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よくある質問(FAQ)

Q. パートでも、かかりつけ薬剤師になれますか?

A. 雇用形態での除外は、資料に書かれていません。見られるのは、週31時間以上の勤務、勤務経験3年以上、在籍6か月以上、研修認定、地域活動です。ただし、薬局がかかりつけ薬剤師の届出をしていることが必要です。まず、自分の薬局が届出をしているかを確認してください。

Q. 時短勤務だと、なれませんか?

A. 育児・介護休業等の措置で短縮されている場合は、週24時間以上かつ週4日以上が目安になります。ただし、届出の様式には、短時間勤務に当たる薬剤師のみで届出を出すことはできない、と書かれています。同意を得るときに、勤務時間が通常より短いことや、時間外の相談への対応を説明する決まりもあります。

Q. 週の勤務時間が31時間に満たないときは?

A. 勤務時間の要件を満たしません。在籍期間も、週31時間以上勤務した期間だけが通算されます。かかりつけ薬剤師になるために働く時間を増やすかどうかは、家庭や体調との相談です。無理に合わせる必要はありません。

Q. どの認定薬剤師でも、要件を満たしますか?

A. 満たすとは限りません。要件は「薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等」の研修認定です。自分の認定が、その制度に当たるかを確認してください。届出には、取得を確認できる文書を添えます。

Q. 「地域活動」とは、何を指しますか?

A. 届出には、過去1年間に、医療に係る地域活動の取組に主体的に参加していることがわかる文書(概要、参加人数、場所と日時、かかわり方など)を添えます。令和8年の資料では具体例を確認できていません。何が当たるかは、薬局や地方厚生局に確認してください。

まとめ

📋 この記事のまとめ

  • かかりつけ薬剤師の要件に、雇用形態の指定はない。見られるのは、週31時間以上の勤務
  • 個人の要件は、勤務経験3年以上/週31時間以上/在籍6か月以上/研修認定/地域活動
  • 週35時間のパートの私は、勤務・在籍・経験は満たせそう。足りないのは、地域活動と薬局の届出
  • 薬局にも条件があり、届出がなければ始まらない
  • 令和8年6月から、かかりつけ区分の点数は、そうでない区分と同じ。フォローアップ加算(50点)と訪問加算(230点)が新設された
  • 加算を取るのが目的ではなく、患者さんのために続けたことが、評価につながるという順番で考える

かかりつけ薬剤師は、常勤の人だけの役割ではありません。

でも、本人の要件と、薬局の届出の両方がそろってはじめて、動き出します。

まずは、自分の薬局がかかりつけ薬剤師の届出をしているかどうか。そこから、確認してみてください。

薬剤師メイ

この記事を書いた人

メイ|現役薬剤師(調剤歴15年)・FP2級

製薬会社の研究職から調剤薬局へ転職し、岩手で管理薬剤師を経験。現在は東京で3人の子どもを育てながら、施設在宅をメインにパート薬剤師として働いています。数千件の服薬指導で実際に受けたご質問をもとに、「難しい薬の知識をわかりやすく」をモットーに発信しています。

→ プロフィール詳細・転職体験記はこちら𝕏 @mei_yakuzaishi📷 Instagram

※本記事は、令和8年6月1日施行時点の公開資料をもとにした一般的な情報提供であり、個別の相談ではありません。診療報酬の要件や点数は改定で変わります。算定や届出の可否は、勤務先の薬局や地方厚生局にご確認ください。雇用条件は、勤務先にご確認ください。記事中の私自身の状況は、執筆時点のものです。

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