住宅ローンの申込書には、勤続年数を書く欄があります。
ここが1年に満たない。それだけで、もう自分には無理かもしれない——そう思ってしまいますよね。
私もそうでした。
パートで、勤続1年未満。しかも、自分ひとりの名義です。
ネット銀行では、通りませんでした。でも、別のところで通りました。
分かれ目になったのは、年収でも資格でもありません。どこに、どの順番で申し込んだかでした。
この記事でお伝えしたいのは、ほとんどそれだけです。
💡 先に、いちばん大事なところだけ
- 勤続年数は「年収を紙で証明できるか」を見るための物差し。年数そのものが目的ではありません
- 金融機関は4つの種類に分かれていて、勤続年数の扱いがまるで違います
- フラット35の申込資格に、勤続年数の条件は書かれていません
- 同時にあちこち出さないでください。申し込んだ記録は6か月残ります
- 金利の低い順ではなく、通りそうな順に出す
そもそも、なぜ勤続年数を見られるのか
勤続年数が短いと不利になる理由を、「すぐ辞めそうだと思われるから」だと思っていませんか。
私はそう思っていました。でも、違いました。
その年収を証明する紙が、まだ存在しないからです。
源泉徴収票も、課税証明書も、1年働いて初めて出てきます。1年に満たない人の分は、どこにもありません。
相手の立場で考えると、当たり前の話でもあります。
確かめようのない数字をもとに、何千万円も貸すことはできません。
つまり、聞かれているのは年数そのものではないんです。
「返せる根拠を、紙で出せますか」——これが本当の質問です。
ここがわかると、やることがはっきりします。
年数は、いまから変えられません。でも、紙なら用意できます。
📄 年収の証明が出せないとき、代わりになるもの
- 直近数か月分の給与明細
- 勤務先が出す見込み年収の証明(雇用契約書や、採用時の条件通知書など)
- 前の職場の源泉徴収票。職場が変わっても、同じ仕事を続けている証明になります
- 資格の証明。職種によっては見てもらえます
私も、1年分の源泉徴収票がない状態で申し込みました。何をそろえたかは、別の記事に詳しく書いています。
金融機関は4種類。勤続年数の扱いがまるで違います
「住宅ローン」とひとまとめに考えていると、ここでつまずきます。
審査のしかたは、金融機関の種類によって本当に違うんです。ここを分けずに申し込むと、通る可能性があったところにたどり着く前に、気持ちのほうが先に折れてしまいます。
| 種類 | 勤続年数の扱い | 向き・不向き |
|---|---|---|
| ネット銀行 | 条件を数字で決めていることが多い(例:勤続◯年以上) | 金利は低い。ただし条件を外れると、そこで終わります |
| 都市銀行 | 条件はあるが、事情を聞いてもらえることもある | 取引の実績があると話が早い |
| 地方銀行・信用金庫・JA | 人を見て判断する余地がある | 勤続年数が短いときの本命。金利はネット銀行より高め |
| フラット35 | 申込資格に勤続年数の条件がない | 全期間固定。ただし物件に技術基準があります |
私がネット銀行で通らなかったとき、交渉のしようがありませんでした。
条件の表に自分が当てはまらない。ただそれだけで終わりです。何か悪いことをしたわけでもないのに、「断られた」という事実だけが手元に残ります。
最終的に通ったのは、地域の信用金庫でした。
窓口で事情を話せました。「この書類で足りますか」と聞きながら進められました。私がやったのは、申し込む先の種類を変えただけです。それだけで、話の進み方がまったく変わりました。
フラット35には、勤続年数の条件が書かれていません
これは、ぜひ覚えて帰ってください。
住宅金融支援機構の【フラット35】の申込資格を見ると、勤続年数も雇用形態も出てきません。書かれているのは、こういう条件です。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 年齢 | 申込時の年齢が満70歳未満(親子リレー返済を利用する場合は満70歳以上も可) |
| 総返済負担率 | 年収400万円未満は30%以下/年収400万円以上は35%以下 |
| 勤続年数 | 記載なし |
| 雇用形態 | 記載なし |
出典:住宅金融支援機構【フラット35】ご利用条件 https://www.flat35.com/loan/lineup/flat35/conditions/index.html(2026年10月時点)
「総返済負担率」というのは、1年間の返済額の合計が、年収の何%になるかという数字です。住宅ローンだけではありません。車のローンも、カードの分割払いも、ぜんぶ足して計算します。
ここが基準を超えていると、勤続年数に関係なく通りません。逆にいえば、他の借入を減らせば、ここは自分で動かせます。
⚠️ ただし、フラット35には別の条件があります
勤続年数の条件がないかわりに、建物に技術基準があります。中古住宅だと適合証明が必要になることもあり、物件によっては使えません。それに全期間固定なので、金利そのものは変動金利より高くなります。
「勤続年数の条件がない」というところだけで決めずに、条件の全体を見てくださいね。
申し込む順番が、いちばん大事です
ここだけは、読んでいってください。
落ちるのが怖いと、あちこちに同時に出したくなります。数を打てば、どこかに当たる気がしますよね。
でも、やめておいたほうがいいです。
住宅ローンの申し込みは、信用情報機関に記録が残るからです。
指定信用情報機関のCICは、申込情報についてこう書いています。
申込情報
概要:お客さまが新規にクレジットやローン等を申し込んだ際に登録される申込内容に関する情報
情報の主な項目:照会日、商品名、契約予定額、支払予定回数、照会会社名等
保有期間:照会日から6か月間出典:CIC「CICが保有する信用情報」 https://www.cic.co.jp/guide/credit-information/possession/
つまり、どこに、いくらで申し込んだかが、6か月のあいだ他の金融機関からも見えるということです。
短い期間に申し込みがいくつも並んでいたら、どう見えるでしょうか。
「この人、あちこちで断られているのかもしれない」。そう受け取られても、おかしくありません。
だから、順番なんです。
📝 勤続年数が短いときの、申し込む順番
- まず窓口に相談に行く。申し込みではなく相談なら、記録は残りません。「勤続1年未満ですが、申し込めますか」と聞くだけで、門前払いかどうかがわかります
- いちばん通りそうなところから出す。金利の低い順ではありません。勤続年数が短いなら、地域の金融機関やフラット35が先です
- 同時に出すのは2件までにとどめる
- 落ちても、すぐ次に出さない。理由を整理してから動く
金利の低いネット銀行から順に出していくと、条件に当てはまらないまま、記録だけが増えていきます。順番を逆にしてください。
事前審査と本審査は、見ているものが違います
「事前審査に通ったから、もう大丈夫」
そう思いたくなりますが、ここは分けて考えてください。2つはまったく別のものです。
| 事前審査 | 本審査 | |
|---|---|---|
| 何をもとに見るか | 申込書に自分で書いた内容が中心 | 提出した書類で裏を取る |
| 物件 | ほとんど見ない | 担保としての評価をする |
| 健康状態 | 見ない | 団信の告知がある |
| かかる時間 | 数日ほど | 数週間かかることもある |
| 落ちる主な理由 | 年収・返済負担率・他の借入 | 申告と書類の食い違い、健康状態、物件 |
事前審査は、自分で書いた内容を見る段階です。
だからこそ、ここで実際より多めに書いてしまうと、本審査の書類と合わなくなります。最初から、ありのままに書いてください。勤続年数も、そのままで大丈夫です。
私の場合、時間がかかったのは本審査のほうでした。書類のやりとりが続いて、思っていたよりずっと長くかかりました。
引き渡しの日が決まっている方は、そこから逆算して、余裕をもって動いてくださいね。
💡 団信の告知は、甘く見ないでください
本審査では、団体信用生命保険の健康状態の告知があります。勤続年数や年収に何の問題がなくても、ここで入れないとローンが組めないことがあります。
持病がある方は、引受の条件がゆるい団信を扱っている金融機関もあります。申し込む前に窓口で聞いておくと、あとで困りません。
勤続年数が短いときに、こちらから足せるもの
勤続年数は、いまからは変えられません。
でも、変えられるものもあります。むしろ、こちらのほうが効きます。
- 同じ仕事を続けている年数を伝える。職場は変わっても、同じ職種で続けているなら、そこは説明できます
- 他の借入をゼロにする。車のローンも、カードの分割も、返済負担率に入ります。小さく見えても、ここがいちばん効きます
- 借入額を下げる。いちばん確実です
- 頭金を入れる。借りる額が減り、物件の価値に対する借入の割合も下がります
- 資格を伝える。職種によっては、収入の安定の材料として見てもらえます
私がやったのは、③と④です。
「もっと借りられますよ」と言われた額より、ずっと少なく借りました。そのおかげで審査も通りやすくなって、毎月の返済も軽くなりました。
借りられる額ではなく、返せる額。ここは、何度でもお伝えしたいところです。
それでも落ちたときに、やること
先に、つらいことをお伝えしておきます。
落ちた理由は、教えてもらえません。
金融機関は理由を開示しない決まりになっているので、「どうしてですか」と聞いても答えは返ってきません。これは本当に、もやもやします。
でも、手がかりはあります。自分で当たりをつけることはできます。
| 確認するところ | 見かた |
|---|---|
| 返済負担率 | 他の借入も全部足して、年収の何%になっているか |
| 他の借入 | 車のローン、カードの分割、リボ、スマホ本体の分割払いも入ります |
| 支払いの遅れ | 過去の遅れが記録に残っていないか。CICで自分の情報を見られます |
| 申し込んだ先の種類 | ネット銀行ばかり出していないか |
| 借入額 | 下げれば通ることがあります |
そのうえで、種類を変えて出し直してください。
同じ種類に何度出しても、たいてい同じところで止まります。私がネット銀行から信用金庫に変えたときのように、土俵を変えるほうが早いです。
急いでいないなら、6か月あけてから。前の申込記録が消えた状態で、まっさらに見てもらえます。
まとめ
- 勤続年数は年収を紙で証明できるかの物差し。代わりの書類で補える
- 金融機関は4種類。勤続年数が短いなら地域の金融機関とフラット35から
- フラット35の申込資格に勤続年数の条件はない(ただし物件に技術基準あり)
- 申し込む前に窓口で相談。相談なら記録は残らない
- 申込記録は6か月残る。同時にたくさん出さない
- 事前審査は申告、本審査は書類と物件と健康状態
- 落ちたら、種類を変えるか、額を下げるか、6か月あける
勤続年数が1年に満たない。
それだけで、自分には無理だと決めてしまわないでください。
私はパートで、勤続1年未満で、自分ひとりの名義で借りました。特別なことは何もしていません。やったのは、出す先の順番を変えたことだけです。
もしいま、申込書の前で手が止まっているなら。
まずは窓口に、相談に行ってみてください。
申し込みではなく、相談です。それなら記録も残りません。
「勤続1年未満ですが、申し込めますか」
この一言を聞きに行くだけで、次にやることが見えてきます。
よくある質問
Q. 勤続年数1年未満でも住宅ローンは組めますか
A. 組める場合があります。金融機関によって勤続年数の扱いが違い、【フラット35】の申込資格には勤続年数の条件が書かれていません。ただし、年収を示す書類が出せないぶん、給与明細や雇用契約書など、代わりの材料を求められます。私自身はパートで、勤続1年未満で借りました。
Q. 勤続年数が短いとき、どこに申し込めばよいですか
A. 金利の低い順ではなく、通る可能性の高い順に出してください。勤続年数が短い場合は、地域の銀行・信用金庫・JAと、フラット35が先です。ネット銀行は条件を数字で決めていることが多く、当てはまらないと、やりとりの余地なく終わってしまいます。
Q. 何社まで同時に申し込んでよいですか
A. 2件までにとどめることをおすすめします。CICは、ローンの申込情報を照会日から6か月間保有すると公表しています。短い期間に申し込みが並んでいると、他の金融機関からもその記録が見えます。申し込む前に窓口で相談すれば、記録は残りません。
Q. 事前審査に通れば、本審査も通りますか
A. 必ずしも通りません。事前審査は自分で書いた申込内容が中心ですが、本審査では書類で裏を取り、物件の担保としての評価や、団体信用生命保険の健康状態の告知も加わります。事前審査の時点からありのままに書いておくことが、いちばんの備えです。
Q. 審査に落ちた理由は教えてもらえますか
A. 教えてもらえません。金融機関は落ちた理由を開示しない決まりになっています。返済負担率、他の借入、過去の支払いの遅れ、申し込んだ先の種類、借入額の5つを自分で確認して、当たりをつけることになります。CICでは自分の信用情報を見ることができます。
Q. 落ちたあと、いつ申し込み直せますか
A. いつでも申し込めますが、急がないなら6か月あけると、前の申込記録が消えた状態で見てもらえます。すぐ動く必要がある場合は、同じ種類ではなく、種類を変えて出し直してください。借入額を下げるのも有効です。
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この記事を書いた人
メイ|現役薬剤師(調剤歴15年)・FP2級
製薬会社の研究職から調剤薬局へ転職し、岩手で管理薬剤師を経験。現在は東京で3人の子どもを育てながら、施設在宅をメインにパート薬剤師として働いています。ファイナンシャルプランナー2級。家計のライフプラン表を毎年見直しています。
※本記事は、筆者が自分で住宅ローンを申し込んだときの記録と、公的機関が公表している情報をまとめたものであり、個別の金融相談や、融資の可否についての助言ではありません。審査の基準・必要書類・勤続年数の扱いは金融機関によって異なり、同じ条件でも結果は変わります。【フラット35】の利用条件と信用情報の保有期間は、本記事を書いた時点で各公式サイトに記載されていた内容です。制度は変わることがありますので、申し込みの前に必ずご自身で最新の情報をご確認のうえ、窓口にご相談ください。
