監修・執筆:薬剤師 メイ
調剤歴15年(製薬会社研究職→調剤薬局・管理薬剤師・在宅薬剤師)。3人の子を育てるママ薬剤師。服薬指導数千件の経験をもとに、正確でわかりやすい薬の情報を発信しています。|プロフィール詳細
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「胃が痛いから、とりあえず胃薬」 そう思ってドラッグストアへ行って、棚の前で立ちつくしたことはありませんか。 実は胃薬には種類があって、症状によって合う薬・合わない薬が違います。 そして間違ったものを選ぶと、よくならないだけではありません。本当は受診すべき病気の発見が、遅れることがあります。 15年の調剤経験から、胃薬の選び方をお伝えします。この記事では、市販の胃薬についてお話しします。症状が2週間以上続く、黒い便が出る、体重が急に減る。こうしたことがある方は、市販薬で様子を見ないでください。必ず消化器科を受診してください。
胃薬の種類を整理しよう
ひとくちに「胃薬」といっても、働きはまったく違います。 大きく分けると、4つの種類があります。 まず自分の症状がどのタイプかを知ること。これが第一歩です。| 種類 | 代表的な成分・商品 | 働き | 向いている症状 |
|---|---|---|---|
| 制酸薬 | 炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウムなど | 胃酸を中和して症状を素早く和らげる | 空腹時の痛み・急な胃の不快感 |
| H2ブロッカー | ファモチジン(ガスター10など) | 胃酸の分泌を抑制する | 胸やけ・胃酸が上がってくる感じ |
| PPI(プロトンポンプ阻害薬) | ランソプラゾール(タケキャブOTC・オメプラールなど) | 胃酸分泌を最も強力に抑制する | 繰り返す逆流性食道炎(胃酸が食道に逆流して起こる炎症)・強い胸やけ |
| 消化酵素・健胃薬 | ジアスターゼ、リパーゼ(太田胃散・パンシロンなど) | 消化を助け、胃の働きを整える | 食べすぎ・もたれ・消化不良 |

症状別・正しい胃薬の選び方

食べすぎ・もたれ・消化不良
食後にずっしり重い。消化できていない感じがする。 そんなときは、消化酵素系の胃薬(太田胃散・パンシロンなど)が向いています。 胃酸を抑えるタイプではなく、消化を助けるタイプを選ぶ。ここがポイントです。胸やけ・胃酸が上がってくる感じ
食後や寝るときに、胸がジリジリ焼ける。酸っぱいものが上がってくる。 そんな症状には、H2ブロッカー(ガスター10など)が効果的です。 胃酸の分泌そのものを抑えて、症状をやわらげます。繰り返す逆流症状・強い胸やけ
毎週のように胸やけを繰り返す。H2ブロッカーを飲んでも良くならない。 そういう方には、より強力にサポートするPPI市販薬(タケキャブOTCなど)という選択肢があります。 ただし、PPI市販薬は2週間が目安です。良くならなければ、消化器科を受診してください。空腹時の胃痛・急な不快感
食事の前や空腹時に、キリキリと痛む。 そのときは、制酸薬がすぐ効きます。 ただし、空腹時の胃痛を繰り返すときは、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の可能性があります。市販薬で繰り返しやり過ごさず、受診を考えてください。市販薬で対処すべきでない危険なサイン
胃の症状の中には、市販薬ではなく、受診を急ぐべき危険なサインがあります。 次に当てはまる方は、胃薬を買う前に、消化器科を受診してください。⚠️ すぐに受診すべき危険なサイン ・黒いタール状の便や血便が出る ・みぞおちに激しい痛みがある ・体重が急激に減少している ・食欲不振が2週間以上続く ・飲み込むときに痛みや違和感がある ・市販薬を2週間使っても改善しない
現場エピソード
「胃が痛くて、市販薬を2か月飲み続けていました」という患者さんが受診されました。検査の結果、胃潰瘍が見つかりました。市販薬で症状がやわらいでいたために、受診が遅れてしまったのです。「薬が効いている=病気が治っている」ではありません。症状がくり返すときは、必ず一度受診してください。
NSAIDs(鎮痛剤)を飲んでいる方は胃薬を一緒に
ロキソニンS・イブプロフェンなどのNSAIDs系鎮痛剤は、胃を守るプロスタグランジンの産生を抑えます。だから、胃への負担が大きくなりやすいんです。 鎮痛剤を飲む機会が多い方は、胃薬(とくにH2ブロッカーや胃粘膜保護薬)を一緒に飲むと、胃への負担を軽くできます。 ただし、胃薬の種類によっては、鎮痛剤との飲み合わせに注意が必要なものがあります。 鎮痛剤の選び方は、ロキソニン・イブ・バファリンの違いもあわせてご覧ください。よくある質問(FAQ)
Q. 胃薬は食前と食後、どちらに飲めばいいですか?
A. 目的によって変わります。食べすぎ・もたれ対策の消化酵素が入った胃薬は食後、胃酸を抑えるタイプは症状が出たときや就寝前が目安になります。市販薬は商品ごとに飲み方が決まっているので、まず箱や添付文書の記載を優先してください。
Q. ガスター10は誰でも買えますか?
A. ガスター10は第1類医薬品なので、薬剤師のいる時間帯にしか購入できず、購入時に説明を受ける必要があります。ネット通販でも同じで、薬剤師の確認を経てからの発送になります。また、市販薬としては3日間使って改善しなければ受診が目安とされています。
Q. 胃薬を毎日飲み続けても大丈夫ですか?
A. 市販の胃薬は、長く飲み続けることを想定していません。胸やけや胃の痛みが2週間以上続くときは、胃炎や逆流性食道炎、まれに胃がんなど別の病気が隠れていることがあります。「薬を飲めば治まるから」と続けるのではなく、一度消化器内科を受診してください。
まとめ:症状に合った胃薬を選ぶことと、危険なサインを見逃さないこと
- 食べすぎ・もたれ → 消化酵素系(太田胃散・パンシロンなど)
- 胸やけ・胃酸が上がる → H2ブロッカー(ガスター10など)
- 繰り返す逆流症状 → PPI市販薬(2週間を目安に)
- 空腹時の急な痛み → 制酸薬(繰り返す場合は受診を)
- 黒い便・激しい痛み・体重減少・2週間以上の症状 → 市販薬ではなく受診
- NSAIDs系鎮痛剤を飲む方は胃薬も一緒に検討する
胃薬選びに迷ったら薬剤師へ
「どの胃薬を選べばいい?」「この症状は市販薬で大丈夫?」と迷ったら、ぜひかかりつけ薬局の薬剤師に症状をそのまま伝えてください。症状に合った薬を一緒に選びます。
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この記事を書いた人
メイ|現役薬剤師(調剤歴15年)・FP2級
製薬会社の研究職から調剤薬局へ転職し、岩手で管理薬剤師を経験。現在は東京で3人の子どもを育てながら、施設在宅をメインにパート薬剤師として働いています。数千件の服薬指導で実際に受けたご質問をもとに、「難しい薬の知識をわかりやすく」をモットーに発信しています。
※本記事は薬剤師による一般的な情報提供を目的としており、個別の医療アドバイスではありません。気になる症状・服薬内容については必ず担当医・薬剤師にご相談ください。

