監修・執筆:薬剤師 メイ
調剤歴15年(製薬会社研究職→調剤薬局・管理薬剤師・在宅薬剤師)。3人の子を育てるママ薬剤師。服薬指導数千件の経験をもとに、正確でわかりやすい薬の情報を発信しています。|プロフィール詳細
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妊娠中や授乳中に頭痛・発熱・風邪などになった時、「この薬を飲んでも大丈夫?」と不安になりますよね。胎児や赤ちゃんへの影響が心配で、薬を飲まずに我慢してしまう方も多いです。薬剤師歴15年の私が、妊娠中・授乳中に使える市販薬と避けるべき薬をわかりやすく解説します。
妊娠中に比較的使いやすい市販薬
解熱・鎮痛:アセトアミノフェン(タイレノールA)
妊娠中の解熱・鎮痛薬として、世界的に最も安全性が高いとされているのがアセトアミノフェンです。タイレノールAがその代表です。妊娠初期から後期まで、添付文書上の禁忌事項も少なく、産婦人科でも処方されることがある成分です。ただし大量・長期服用は避け、最小有効量を守りましょう。
胃腸薬:酸化マグネシウム・整腸薬
妊娠中は便秘になりやすいです。酸化マグネシウム製剤(カマグなど)は腸への刺激が少なく、妊婦さんに比較的使いやすい便秘薬です。ビオフェルミンなどの整腸薬も安全性が高く使えます。センノシド(プルゼニドなど)は妊娠後期に子宮収縮を促す可能性があり注意が必要です。
鼻炎・花粉症:クロルフェニラミン系(短期使用)
第1世代抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミンマレイン酸塩)は妊娠中の使用実績が長く、比較的安全とされています。ただし眠気が出やすく、長期使用は避けるべきです。鼻炎用点鼻薬(クロモグリク酸ナトリウム)も妊娠中に使いやすい選択肢です。
のどの痛み:トローチ・うがい薬
殺菌成分入りのトローチやうがい薬(イソジンなど)は局所的な使用であり、妊娠中でも比較的使いやすいです。ただしイソジンのポビドンヨードは甲状腺に影響する可能性があるため、長期連用は避けましょう。
妊娠中に避けるべき市販薬
| 成分・薬 | 代表薬 | 理由 |
|---|---|---|
| イブプロフェン | イブ・ナロンなど | 妊娠後期禁忌。胎児の動脈管収縮・腎機能障害のリスク |
| ロキソプロフェン | ロキソニンSなど | 妊娠後期禁忌。同上 |
| アスピリン | バファリンAなど | 妊娠後期禁忌。出産時の出血リスク増加 |
| センノシド系下剤 | コーラックなど | 子宮収縮を促す可能性 |
| ビタミンA(大量) | 一部サプリ | 妊娠初期の過剰摂取で奇形リスク |
授乳中に使える・避けるべき市販薬
授乳中でも比較的安心な薬
- アセトアミノフェン(タイレノールA):母乳への移行量が少なく、授乳中の鎮痛・解熱に最も推奨される
- 整腸薬(ビオフェルミンなど):腸内細菌を整えるだけで全身への吸収はほとんどない
- 酸化マグネシウム:腸内にとどまり、全身吸収は少ない
授乳中に避けるべき薬
- NSAIDs(イブプロフェン・ロキソプロフェン):母乳へ移行する可能性がある。短期使用なら影響は少ないが、授乳中はアセトアミノフェンが優先
- 第1世代抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミンなど):赤ちゃんの眠気・興奮を引き起こす可能性。授乳中は使用を避けるか授乳後に服用
- コデインリン酸塩配合の風邪薬・咳止め:母乳への移行があり、新生児への影響リスクがある
薬を使う前に必ずすること
- かかりつけの産婦人科医・薬剤師に相談する
- 添付文書の「妊婦・産婦・授乳婦への使用」欄を必ず確認する
- 自己判断で複数の薬を組み合わせない
- 症状が重い場合は薬で対処せず受診を優先する
まとめ
■ この記事のまとめ
- 妊娠中の鎮痛・解熱→アセトアミノフェン(タイレノールA)が最も安全
- イブプロフェン・ロキソプロフェン・アスピリンは妊娠後期禁忌
- 整腸薬・酸化マグネシウムは妊娠中・授乳中とも比較的安心
- 授乳中の鎮痛もアセトアミノフェンが第一選択
- コデイン配合の風邪薬・咳止めは授乳中は避ける
- 必ず産婦人科医・薬剤師に相談してから使用する
おすすめ市販薬
💊 解熱・鎮痛(妊娠中・授乳中に最も安全)
🦠 整腸薬(妊娠中・授乳中も安心)
🚽 便秘薬(妊娠中の便秘に)
妊娠中の便秘には酸化マグネシウムが最も安全な選択肢です。腸を刺激せず便を軟らかくする作用のため、妊婦・授乳婦への使用実績も豊富です。産婦人科でも処方される成分で、市販品でも同じ成分が手に入ります。
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妊娠時期・症状別の薬の考え方|旧記事より
妊娠時期によって注意レベルが変わる理由
妊娠中に薬に慎重になる大きな理由のひとつは、多くの薬が胎盤を通じて胎児に移行する可能性があるからです。ただし、リスクの程度は妊娠の時期によって大きく異なります。
| 時期 | 注意レベル | 理由・ポイント |
|---|---|---|
| 妊娠初期(〜13週) | 特に慎重に | 赤ちゃんの器官が形成される時期。薬の影響が出やすいとされる。「絶対過敏期」とも呼ばれる |
| 妊娠中期(14〜27週) | 慎重に | 比較的安定期とされるが、胎盤を通じた薬の移行は続く。自己判断は禁物 |
| 妊娠後期(28週〜) | 特に慎重に | NSAIDs系鎮痛剤は動脈管早期閉鎖のリスクがあり原則禁忌。出産・授乳への影響も考慮が必要 |
どの時期であっても、薬の使用前には必ず産婦人科医か薬剤師に相談することが基本です。「安定期だから大丈夫」という自己判断は避けてください。
妊娠中に多い症状への対処
頭痛
まず横になって休む・額を冷やすなどの非薬物対応を試みてください。改善しない場合は、産婦人科医に相談のうえアセトアミノフェンの使用を検討することがあります。NSAIDs系(イブプロフェン・ロキソプロフェンなど)は妊娠中は自己判断での使用を避けてください。
胃の不快感・胸やけ
妊娠中は子宮の増大により胃酸逆流が起きやすくなります。食事を少量ずつ分けて食べる・食後すぐに横にならないなどの生活上の工夫を優先してください。薬の使用は産婦人科医に相談してから判断することをおすすめします。
鼻づまり・花粉症
妊娠中は「妊娠性鼻炎」と呼ばれる鼻粘膜のうっ血が起こりやすく、薬での対処が難しいケースもあります。まず非薬物対応(加湿器・マスク・鼻うがい)を優先してください。薬を使う場合は全身への吸収が少ない局所作用型の薬が選択肢になることがあります。必ず産婦人科医・薬剤師に相談してから使用してください。
現場エピソード
妊娠中の患者さんへの服薬指導では、「これは飲めますか?」という質問を毎回いただきます。私が心がけているのは「安全か危険かの二択で答えない」ことです。使える薬の選択肢・非薬物対応・産婦人科医への確認事項を一緒に整理するようにしています。
「妊娠に気づく前に薬を飲んでしまった」という方へ
「妊娠しているとは知らずに市販薬を飲んでしまった」「妊娠初期に風邪薬を飲んでしまった」——こうした不安のご相談は現場でも非常に多くいただきます。まず、深呼吸して落ち着いてください。
多くの場合、1回・少量の服用で直ちに重大な影響が出るわけではありません。ただし「大丈夫なはず」と自己判断で放置するのではなく、必ず担当の産婦人科医に「いつ・何を・どのくらい飲んだか」を正直に伝えてください。医師が適切に評価してくれます。
相談窓口のご案内
国立成育医療研究センターが運営する「妊娠と薬情報センター」では、妊娠中・授乳中の薬に関する専門的な相談を受け付けています。担当医への相談と並行して活用できる公的な窓口です。
この記事を書いた人
メイ|現役薬剤師
調剤薬局に勤続15年の現役薬剤師。服薬指導と医薬品情報管理(DI)を専門とし、これまで数千件以上の服薬指導に携わってきました。「難しい薬の知識をわかりやすく」をモットーに、現場のリアルな経験をもとに発信しています。→ プロフィール詳細はこちら

