監修・執筆:薬剤師 メイ
調剤歴15年(製薬会社研究職→調剤薬局・管理薬剤師・在宅薬剤師)。3人の子を育てるママ薬剤師。服薬指導数千件の経験をもとに、正確でわかりやすい薬の情報を発信しています。|プロフィール詳細
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引き出しを開けたら、前にもらった薬がたまっている。使いかけの目薬が、いくつも出てくる。
心当たり、ありませんか。
実は保管のしかたを間違えると、薬は劣化します。知らないうちに、効き方が変わってしまうんです。
そして「もったいないから」と使い回すことが、思わぬ健康被害につながります。
この記事では、正しい保管のしかた、捨て方、そして残薬を減らす習慣をお伝えします。
残薬の使い回しが危険な理由については薬剤師が絶対やらない市販薬の使い方もあわせてご覧ください。この記事では「正しく保管・正しく処分する方法」に絞ってお伝えします。
薬の正しい保管場所——やりがちなNG例
薬は「高温・多湿・直射日光」を避けるのが基本です。
ところが窓口でお話を聞いていると、置いてはいけない場所にしまっている方が、本当に多いんです。
| 保管場所 | 評価 | 理由 |
|---|---|---|
| 直射日光の当たらない室内・引き出し | ◎ 推奨 | 温度・湿度が安定しており、光も避けられる |
| 洗面台・洗面所の棚 | × NG | 入浴による湿気・温度変化が激しく、薬が変質しやすい |
| キッチンのシンク下・コンロ近く | × NG | 湿気・熱・水気にさらされやすく、品質劣化の原因になる |
| 車の中・グローブボックス | × NG | 夏場は60℃以上になることもあり、薬の成分が変質する危険がある |
| 冷蔵庫(指定がある薬のみ) | ○ 条件付き | 目薬・一部の飲み薬など「冷所保存」指定のものだけ冷蔵庫へ。全ての薬を入れるのはNG |

現場エピソード
「洗面台の棚に薬をまとめて保管しています」とおっしゃった患者さん。薬を見せていただくと、錠剤が変色しているものがありました。洗面所は入浴のたびに湿度が急上昇するため、薬の保管場所としては最もNGな場所のひとつです。「手が届きやすい場所に置きたい」という気持ちはわかりますが、引き出しの中や専用の薬箱に移すことをおすすめします。
使用期限の考え方——開封前・開封後で変わる
箱に書かれている使用期限。あれは「開けていない・正しく保管した状態」での期限です。
開けたあとは、品質が変わるスピードが速くなります。別の目安で考えてください。
| 薬の種類 | 開封後の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 錠剤・カプセル(PTP包装) | 記載の使用期限まで | 個包装なので開封後も比較的安定。ただし変色・異臭があれば使用しない |
| 目薬 | 開封後1ヶ月 | 開封後は防腐剤が効きにくくなり菌が繁殖しやすい。使用期限内でも1ヶ月で廃棄を |
| シロップ(水薬) | 開封後2週間程度 | 変色・沈殿・異臭が出たら即廃棄。子どもの薬に多いため特に注意 |
| 粉薬・顆粒(分包) | 記載の使用期限まで | 湿気に弱い。固まりや変色が見られたら使用しない |
| 軟膏・クリーム | 開封後3〜6ヶ月 | 変色・分離・異臭が出たら廃棄。チューブの口を清潔に保つ |

余った薬の正しい処分方法
「薬を捨てるのは、もったいない」
その気持ちは、よくわかります。
でも期限が切れた薬、品質が変わった薬を使い続けることは、健康を損なうことにつながります。正しい捨て方を知っておきましょう。
一般家庭での処分方法
ほとんどの薬は燃えるごみとして処分できます。ただし、そのまま捨てると子どもやペットが誤って口にする危険があるため、以下の手順で処分してください。
- 錠剤・カプセルは新聞紙や紙に包んでビニール袋に入れ、燃えるごみへ
- 粉薬は紙に包んで湿らせてから燃えるごみへ(飛散防止)
- 目薬・液体薬はティッシュや紙に染み込ませてビニール袋に入れ、燃えるごみへ
- 軟膏・クリームはチューブをつぶして燃えるごみへ
⚠️ 絶対にやってはいけないこと
薬をトイレや洗面台に流すことは絶対に避けてください。薬の成分が河川・地下水に混入し、水生生物への影響・環境汚染・さらには水道水への残留につながる可能性があります。特に抗生物質の排水は耐性菌問題と関連しており、社会的にも深刻な問題です。
薬局への返却——「残薬回収」を活用する
実は、多くの調剤薬局が不要になった薬を回収しています。
処方薬も市販薬も、まとめて持って行って大丈夫です。薬局で適切に処分します。
「こんなにたくさん余っているのを見せたら、怒られるかも……」
そう思って遠慮される方がいます。
まったく、そんなことはありません。
むしろ残っている量がわかると、次の処方を減らしてもらうよう相談できます。どうぞ、気軽に持ってきてください。
残薬を減らすための3つの習慣
いちばんよいのは、そもそも余らせないことです。
窓口で見ていて、効いていると感じた習慣を3つお伝えします。
習慣① 受診前に残薬を必ず確認する
次の受診の前に、手元の薬の残りを数えてください。
「まだ〇〇錠残っています」と先生に伝えるだけ。それで処方量を調整してもらえます。
この一言だけで、残薬はぐっと減ります。
習慣② お薬手帳で服薬状況を管理する
お薬手帳に「飲み忘れが多かった」「途中でやめてしまった」などのメモを残しておくと、薬剤師が服薬状況を把握して適切なアドバイスができます。残薬が多い薬は、服用方法や用量の見直しにつながることもあります。お薬手帳の活用方法はお薬手帳の正しい使い方もご参考ください。
習慣③ かかりつけ薬局で残薬調整を相談する
「薬が余りすぎている」と感じたら、かかりつけ薬局で相談してください。
薬剤師から先生へ「残薬が〇〇錠あるので、今回は〇日分減らしてください」と伝えることができます。
これを「残薬調整」といって、毎日やっていることです。遠慮せず、声をかけてくださいね。
よくある質問(FAQ)
Q. 薬局は、他の病院でもらった薬も引き取ってくれますか?
A. 多くの薬局で引き取っています。かかりつけ薬局であれば、他院で処方された薬も含めてまとめて相談できます。ただし対応は薬局ごとに違うので、持って行く前に電話で確認すると確実です。なお、何がどれくらい残っているかを一緒に確認できると、次回の処方量の調整にもつながります。
Q. 錠剤のシート(PTP包装)は何ゴミになりますか?
A. お住まいの自治体によって分類が違います。プラスチックとアルミが貼り合わされているため、「プラスチック製容器包装」ではなく可燃ごみとしている自治体が多いですが、必ずお住まいの分別ルールを確認してください。中身の薬が残ったままのシートは、薬局に持って行くほうが確実です。
Q. 使用期限が切れた薬を飲んでしまいました。大丈夫でしょうか?
A. 期限を少し過ぎた程度で強い害が出ることはまれですが、成分が分解して効き目が落ちている可能性があります。まずは体調に変わりがないか様子を見て、気になる症状があれば薬剤師か医師にご相談ください。今後のために、期限切れの薬は飲まずに処分することをおすすめします。
まとめ
- 薬の保管は高温・多湿・直射日光を避ける。洗面台・車の中・コンロ近くはNG
- 目薬は開封後1ヶ月、シロップは2週間が目安。変色・異臭があれば即廃棄
- 余った薬は燃えるごみへ。トイレ・排水口に流すのは環境汚染につながり絶対にNG
- 多くの薬局で残薬回収を行っている。まとめて持参して処分を依頼できる
- 受診前の残薬確認・お薬手帳の活用・薬局への相談で残薬は減らせる
あわせて読みたい:薬剤師が絶対やらない市販薬の使い方 / お薬手帳の正しい使い方 / お薬手帳を持ち歩かないリスク
残薬の処分・相談はかかりつけ薬局へ
「薬が余りすぎている」「保管方法が不安」という方は、かかりつけ薬局の薬剤師に気軽に声をかけてください。残薬の回収・処方量の調整など、一緒に対応します。
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この記事を書いた人
メイ|現役薬剤師(調剤歴15年)・FP2級
製薬会社の研究職から調剤薬局へ転職し、岩手で管理薬剤師を経験。現在は東京で3人の子どもを育てながら、施設在宅をメインにパート薬剤師として働いています。数千件の服薬指導で実際に受けたご質問をもとに、「難しい薬の知識をわかりやすく」をモットーに発信しています。
※本記事は薬剤師による一般的な情報提供を目的としており、個別の医療アドバイスではありません。気になる症状・服薬内容については必ず担当医・薬剤師にご相談ください。

