歯が痛いときの市販薬|ロキソニンが効かない理由と夜中の応急処置を薬剤師が解説

歯が痛いときの市販薬|ロキソニンが効かない理由と夜中の応急処置 薬剤師コラム
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監修・執筆:薬剤師 メイ

調剤歴15年(製薬会社研究職→調剤薬局・管理薬剤師・在宅薬剤師)。3人の子を育てるママ薬剤師。服薬指導数千件の経験をもとに、正確でわかりやすい薬の情報を発信しています。|プロフィール詳細

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📌 結論:市販薬は「歯医者に行くまで」をしのぐ薬です

歯の痛みは、薬で治るものではありません。原因は歯の内部や根の先で起きている炎症なので、市販薬でできるのは痛みを抑えて受診までしのぐことだけです。

  • いちばん強く抑えたいロキソプロフェン(ロキソニンSなど)
  • 胃が弱い・空腹アセトアミノフェン(タイレノールAなど)
  • 市販の抗生物質はありません → 「化膿止め」を買うことはできません
  • 冷やすのは○、温めるのは✕ → 頬の外から冷やす。入浴・飲酒・運動は痛みが増します
  • 効かないときに量を増やさない → 効かない痛みは薬では止まりません。歯科へ

「夜中に急に歯が痛くなって眠れない」「明日まで歯医者に行けない」——薬局でいちばん切迫した顔で来られるのが、歯の痛みのご相談です。

痛みを抑える方法はあります。ただしやってはいけないこともいくつかあり、それを知らずに悪化させてしまう方が本当に多いです。この記事では、今夜をしのぐ方法と、してはいけないことをお伝えします。

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なぜ夜中に痛くなるのか

「昼間は平気だったのに、夜になると痛む」というのは、気のせいではありません。理由が2つあります。

  • 横になると頭に血が集まる。歯の内部は硬い組織に囲まれていて逃げ場がないため、血流が増えると内側から圧がかかって痛みます
  • 気を紛らわすものがない。日中は仕事や家事で意識が散りますが、静かな夜は痛みに集中してしまいます

だから横になるより、上半身を起こしぎみにしたほうが楽になることがあります。背中にクッションを入れて、少し起こした姿勢で休んでみてください。

市販の痛み止めの選び方

歯の痛みは炎症をともなう痛みなので、炎症を抑える成分が向いています。

成分代表的な市販薬特徴
ロキソプロフェンロキソニンSなど(第1類)抗炎症作用が強い。歯痛には第一候補
イブプロフェンイブ、イブクイックなど吸収が速い。薬剤師のいない時間帯でも買える
アセトアミノフェンタイレノールAなど胃にやさしい。ただし抗炎症作用は弱い

成分ごとの違いは、こちらでくわしく比べています。→ ロキソニン・イブ・バファリンの違いを徹底比較

💊 薬剤師のポイント:痛くなりそうな時間の前に飲む

歯の痛みは波があります。「そろそろ痛くなりそう」という段階で飲んだほうが、少ない量で抑えられます。ピークまで我慢してから飲むと、効き始めるまでの30分がとてもつらくなります。寝る前にあらかじめ1回飲んでおくという使い方も、用法の範囲内なら有効です。

【重要】市販の抗生物質はありません

「歯茎が腫れているから化膿止めがほしい」というご相談をよく受けます。はっきりお伝えします。

⚠️ 飲む抗生物質は、日本では市販されていません

抗菌薬(抗生物質)はすべて医師・歯科医師の処方が必要です。ドラッグストアでは買えません。
市販の「化膿止め」として売られているのは塗り薬で、皮膚の傷などに使うものです。歯茎の腫れや歯の根の炎症には届きません。
腫れや膿をともなう痛みは、抗菌薬が要る状態です。薬局でしのごうとせず、歯科を受診してください。

なお、以前に歯科でもらった抗菌薬が残っていても、それを自己判断で飲むのはやめてください。中途半端に飲むと効きにくい菌を育ててしまいますし、今回の原因菌に合っているとも限りません。

効かないときに、やってはいけないこと

「ロキソニンを飲んだのに効かない」——これも本当によく聞きます。そのときに絶対にやってはいけないことがあります。

  • 2錠まとめて飲む。ロキソニンSは1回1錠と決まっています。倍飲んでも効果は倍になりませんが、胃の荒れや腎臓への負担は確実に増えます
  • 種類の違う痛み止めを足す。働き方が似ているので、副作用だけが重なります
  • 決められた間隔より早く飲む。次に飲めるまでの時間は必ず守ってください

市販薬で抑えきれない痛みは、薬の量が足りないのではなく、薬では止められない段階に来ています。歯の神経に炎症が及んでいる(歯髄炎=しずいえん)場合、痛み止めでは追いつきません。量を増やすより、歯科にかかるほうが早く楽になります。

また、痛み止めを飲む日が増えているなら注意が必要です。→ 頭痛薬の正しい選び方|薬の使いすぎによる頭痛

冷やす?温める?——答えは「冷やす」です

肩こりや腰痛と混同して温めてしまう方がいますが、歯痛は逆です。

◎ してよいこと ✕ してはいけないこと
温度頬の外から冷たいタオルや保冷剤で冷やす蒸しタオル・カイロで温める
お風呂ぬるめのシャワーで短く済ませる湯船にゆっくりつかる
飲食ぬるいもの・やわらかいものお酒、熱いもの、冷たすぎるもの
運動安静にする運動、重い荷物を持つ

理由はどれも同じで、血流が増えると歯の内部の圧が上がって痛みが強くなるからです。とくにお酒は痛み止めの効きにも影響するので、飲まないでください。

冷やすときは保冷剤を直接あてず、タオルで包んで頬の外から。冷やしすぎると血流が落ちすぎて、かえって治りが遅くなることがあります。10分ほど当てて、いったん離してください。

薬以外でできる応急処置

口の中をきれいにする

虫歯の穴に食べかすが詰まって痛むことがあります。ぬるま湯でやさしくすすぐ、歯間ブラシやフロスで詰まりを取るだけで、楽になる場合があります。ただし穴の中を爪ようじなどで無理にほじらないでください。神経を刺激して悪化します。

歯痛用の塗り薬

虫歯の穴に直接つける市販の歯痛薬があります。虫歯の穴があいていて、そこが痛む場合には有効ですが、歯茎の腫れや、詰め物の下で起きている痛みには届きません。使ってみて変化がなければ、原因が別のところにあると考えてください。

姿勢を変える

先ほどお伝えしたとおり、上半身を起こしぎみにするだけで違います。ソファにもたれる、枕を重ねるなど、頭を心臓より高くしてください。

夜中・休日に痛くなったら

我慢しなくてよい選択肢があります。多くの自治体に休日夜間の歯科診療所があり、応急処置を受けられます。

  • 「お住まいの市区町村名+休日 歯科」で検索すると、当番医の案内が出てきます
  • 迷ったら救急相談窓口(#7119)に電話すると、受診の必要性を相談できます。地域によって対応が異なります
  • 翌朝いちばんにかかりつけ歯科へ電話してください。「痛みで眠れなかった」と伝えると、当日に診てもらえることが多いです

💊 現場でよく聞く話

「痛みが引いたので歯医者に行くのをやめました」という方が、しばらくしてもっとひどくなって戻ってこられることがよくあります。痛みが消えたのは治ったからではなく、神経が死んでしまったからというケースがあるためです。そのまま放置すると根の先で膿がたまり、治療が大がかりになります。痛みが引いても、必ず一度は診てもらってください。

すぐに受診が必要なサイン

⚠️ 市販薬で様子を見ないでください

頬や顎が大きく腫れている熱が出ている口が開きにくい・飲み込むとつらい目の下やあごの下まで腫れが広がっている⑤市販薬を飲んでも眠れないほど痛い
③④は炎症が周囲に広がっているサインで、気道に近い場所まで及ぶと危険です。夜間でも救急を受診してください。⑤も我慢せず、休日夜間の歯科へ。

よくある質問(FAQ)

Q. ロキソニンが効きません。2錠飲んでもいいですか?

A. 飲まないでください。ロキソニンSは1回1錠と決められていて、増やしても効果は上がらず、胃の荒れや腎臓への負担だけが増えます。効かないということは、薬で抑えられる段階を越えている可能性が高いです。次に飲める時間まで待ち、冷やして姿勢を起こして、朝いちばんに歯科へ連絡してください。

Q. カロナールとロキソニン、歯痛にはどちらがいいですか?

A. 歯痛には炎症を抑える力が要るので、ロキソプロフェン(ロキソニン)のほうが向いています。ただし胃が弱い方、空腹で飲むしかない方、妊娠中の方はアセトアミノフェン(カロナール・タイレノールA)を選んでください。効き目より、飲める体調かどうかが優先です。→ カロナールとロキソニンの違い

Q. 歯茎が腫れています。化膿止めは買えますか?

A. 飲む抗生物質は市販されていません。市販の「化膿止め」は皮膚に塗る薬で、歯茎の奥の炎症には届きません。腫れをともなう痛みは抗菌薬が必要な状態なので、市販薬でしのがず歯科を受診してください。それまでは痛み止めで抑え、冷やして、お酒と入浴を避けてください。

Q. 子どもが夜中に歯が痛いと泣いています。

A. 大人用の痛み止めは使わないでください。15歳未満にはロキソニンSもイブも使えません。使えるのは年齢に合った小児用のアセトアミノフェンです。あわせて、頬の外から冷やす・上半身を起こす・ぬるま湯ですすぐ、で朝までしのいでください。→ 子どもの解熱剤の正しい使い方

Q. 痛みが引いたら、歯医者に行かなくていいですか?

A. 必ず行ってください。痛みが消えたのは治ったからとは限らず、神経が死んでしまって感じなくなっただけのことがあります。その場合、放っておくと根の先に膿がたまり、あとで大がかりな治療になります。「治ったと思ったら、しばらくして倍つらくなった」というのは、現場でくり返し聞く話です。

まとめ

  • 市販薬は歯科に行くまでをしのぐ薬。痛みを止めても原因は残ります
  • 歯痛にはロキソプロフェンが向く。胃が弱い方・妊娠中はアセトアミノフェン
  • 飲む抗生物質は市販されていません。腫れや膿があるなら受診が必要な状態です
  • 効かないときに量を増やさない。薬で止まらない痛みは段階が違います
  • 冷やすのは○、温めるのは✕。入浴・飲酒・運動は痛みを強めます
  • 横になると痛むのは自然なこと。上半身を起こして休む
  • 痛みが引いても必ず受診を。神経が死んで感じなくなっただけのことがあります

歯の痛みは、我慢してもよいことがひとつもありません。今夜を薬でしのいだら、明日の朝いちばんに電話してください。それがいちばん早く楽になる道です。


薬剤師メイ

この記事を書いた人

メイ|現役薬剤師(調剤歴15年)

製薬会社の研究職から調剤薬局へ転職し、岩手で管理薬剤師を経験。現在は東京で3人の子どもを育てながら、施設在宅をメインにパート薬剤師として働いています。数千件の服薬指導で実際に受けたご質問をもとに、「難しい薬の知識をわかりやすく」をモットーに発信しています。

→ プロフィール詳細・転職体験記はこちら𝕏 @mei_yakuzaishi

※本記事は薬剤師による一般的な情報提供を目的としており、個別の医療アドバイスではありません。気になる症状・服薬内容については必ず担当医・歯科医師・薬剤師にご相談ください。

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