住宅ローンを返すのが先か、教育費を貯めるのが先か。
子どもが3人いて、住宅ローンもあります。どちらも待ってくれません。
私は薬剤師ですが、ファイナンシャルプランナー2級の資格も持っています。もともとライフプランを作るのが好きで、結婚して子どもが生まれてから、毎年のように見直してきました。
それでも、この問いに答えを出すには時間がかかりました。先に結論を書きます。
💡 わが家が決めたこと
- 基本は教育資金を優先する
- ただし住宅ローンの金利が3%を超えたら、繰り上げ返済を検討する
- 上の子が進路を決めるころに、そのときの金利と貯蓄を見て、改めて決める
いま全部を決めない、と決めました。
📝 この記事でわかること
- 年表を作ってみて、本当にわかったこと(重なることではありませんでした)
- 1人あたりいくら貯めるか、どう決めたか
- 解約した保険と、解約しなかった保険。その分かれ目
- なぜ「金利3%」を判断の線にしたのか
- ご自分の家で作れる、記入用の表
1. 年表を作って、本当にわかったこと
「進学が重なる年がある」——これは、表を作る前からわかっていました。妊娠した時点で、きょうだいの年の離れ方は決まるからです。
だから、作ってみて驚いたのはそこではありませんでした。
📌 作ってみて、初めて見えたこと
いまが「貯め時」で、その間にいくら貯められるのか。そして、いくら貯めないといけないのか。
重なることは知っていても、そこまでに何年あって、その間にいくら貯められるのかは、書き出すまで見えていませんでした。
子どもが小さいうちは、教育費がまだ本格的にかかりません。この時期が、いちばん貯められる時期です。
その「貯め時」が、あと何年あるのか。毎月いくらずつなら、目標に届くのか。数字にして初めて、間に合うかどうかがわかりました。
もうひとつ、予定を動かすことにしました
年表に書き出してみると、進学が重なる年に、車の買い替えまで重なっていました。
車は、進学と違って時期をずらせます。だから、進学の年と重ならないようにずらそうと決めました。
これは、並べて書き出さなければ気づかなかったことです。動かせる出費と、動かせない出費を分ける。年表のいちばんの効用は、ここかもしれません。
2. ご自分の家でも作れます
むずかしい道具は要りません。紙でも、表計算でも作れます。縦に年、横に出来事を並べるだけです。
| 年 | 上の子 | 真ん中 | 下の子 | 大きな出費 | ローン残高 | 貯蓄 |
|---|---|---|---|---|---|---|
記入例(架空のご家庭で作ってみました)
空欄だけだと手が止まるので、例を作りました。わが家の数字ではありません。お子さん2人・4歳差、住宅ローンの残りが1,500万円、毎月65,000円返済、年に60万円ずつ貯められる家庭を想定しています。
| 上の子 | 下の子 | 大きな出費 | ローン残高 | 貯蓄 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 今年 | 小4 | 年長 | — | 1,500万円 | 300万円 |
| 1年後 | 小5 | 小1 | ランドセル・学習机 | 1,430万円 | 350万円 |
| 2年後 | 小6 | 小2 | — | 1,360万円 | 410万円 |
| 3年後 | 中1 | 小3 | 制服・自転車 | 1,290万円 | 460万円 |
| 4年後 | 中2 | 小4 | — | 1,215万円 | 520万円 |
| 5年後 | 中3 | 小5 | 受験・塾 | 1,140万円 | 560万円 |
| 6年後 | 高1 | 小6 | 入学費用 | 1,065万円 | 590万円 |
| 7年後 | 高2 | 中1 | 制服 | 990万円 | 640万円 |
| 8年後 | 高3 | 中2 | 受験費用 | 910万円 | 680万円 |
| 9年後 | 大1 | 中3 | 入学金・授業料/受験 | 830万円 | 480万円 |
| 10年後 | 大2 | 高1 | 授業料/入学費用 | 750万円 | 320万円 |
こうして並べると、9年後と10年後に大きな出費が重なって、貯蓄が一気に減るのが見えます。
ここまで見えれば、打つ手があります。重なる年より前に、どれだけ貯められるか。動かせる出費があれば、その年を避けてずらす。
💡 この例で見てほしいところ
- 貯蓄の列が、増え続けずに減る年がある。そこが山です
- ローン残高は、山が来てもずっと残り続けます。教育費とローンは、同じ時期に並走します
- 数字はご自分のもので構いません。正確さより、山がどこに来るかが見えることが大事です
✅ 埋めるときのコツ
- 進学の年は、いまの年齢から機械的に埋まります。中学・高校・大学の入学年を書くだけ
- 動かせない出費(進学)と、動かせる出費(車・家電・旅行)を分けて書く
- ローンの残高は、金融機関の返済予定表から写せます
- 貯蓄の欄がいちばん大事です。毎年いくら増える想定かを入れると、間に合うかが見えます
一度作れば、あとは毎年少しずつ直すだけです。私は年に一度、見直しています。
3. 1人あたり、いくら貯めるか
全体で考えると、額が大きすぎて手が止まります。だから1人あたりで決めました。
| 金額 | |
|---|---|
| 1人が18歳になるまでの目標 | 400万円 |
| そのうち、学資保険で確保ずみ | 200万円 |
| これから貯める分 | 200万円 |
400万円という数字を見ると構えてしまいますが、半分はすでに確保できています。残りの200万円を、貯め時のあいだに積む。そう考えると、やることがはっきりしました。
この額が多いか少ないかは、進路によって変わります。私は公立高校から私立文系・自宅通学を想定して置きました。
目安になる公的なデータ
どれくらいかかるのかは、国が調べて公表しています。あてずっぽうで置くより、ここから持ってくるほうが確かです。
幼稚園から高校卒業まで(15年間の合計)
| 通い方 | 15年間の合計 |
|---|---|
| すべて公立 | 約614万円 |
| 幼稚園だけ私立、小中高は公立 | 約665万円 |
| 幼稚園と高校が私立、小中は公立 | 約838万円 |
| すべて私立 | 約1,969万円 |
学校ごとに分けると、在学中の合計はこうなります。
| 公立 | 私立 | |
|---|---|---|
| 幼稚園(3年) | 約53万円 | 約104万円 |
| 小学校(6年) | 約220万円 | 約1,046万円 |
| 中学校(3年) | 約163万円 | 約467万円 |
| 高校・全日制(3年) | 約178万円 | 約352万円 |
出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(令和8年1月16日公表の訂正版)。学校教育費・学校給食費・学校外活動費を合わせた「学習費総額」です。塾や習い事の費用も含まれています。
大学(私立・文科系)
| 金額 | |
|---|---|
| 入学料(初年度のみ) | 219,951円 |
| 授業料(年額) | 850,392円 |
| 施設設備費(年額) | 141,892円 |
| 初年度の合計 | 1,212,235円 |
| 4年間の合計(めやす) | 約419万円 |
出典:文部科学省「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果」(令和7年12月26日公表)。592校の定員1人あたりの加重平均です。
★この表に、下宿の費用や受験費用は入っていません。自宅から通う前提の学費だけの数字です。
私が目標にした1人400万円は、この私立文系の4年間(約419万円)にほぼ相当します。ぴたりではありませんが、学資保険200万円と合わせて、学費のかなりの部分はまかなえる計算です。
国公立ならもっと少なく、私立理系や下宿が入るともっと必要です。
大事なのは金額そのものより、1人あたりの目標を決めて、残りいくらかを見えるようにしたことでした。
4. 解約した保険と、解約しなかった保険
住宅ローンを組むとき、借入額を下げるために手元のお金を入れました。そのとき、保険の扱いで判断が分かれました。
| 判断 | 理由 | |
|---|---|---|
| 積み立て型の生命保険 | 解約した | 解約して返ってきた分を、そのまま借入額を下げるのに使った |
| 学資保険 | 解約しなかった | すでに払い込みが終わっていて、途中で解約すると2割ほどしか戻らない |
同じ「保険」でも、解約したときに戻る額がまったく違いました。
学資保険は払い込みが済んでいたので、解約すると大きく目減りします。それなら、満期まで置いておくほうが得です。ここは迷いませんでした。
住宅ローンの記事で「教育資金を一部だけ残した」と書きましたが、残したのはこの学資保険です。それ以外は返済に回しました。
⚠️ 保険を解約して繰り上げ返済、を考えている方へ
解約したらいくら戻るかを、先に確認してください。払い込みの進み具合によって、戻る額はまったく違います。私の場合は、片方は解約して返済に回し、もう片方は解約すると損になるので残しました。同じ判断にはなりませんでした。
借入額を決めたときの話は、こちらに書きました。→ 住宅ローンを1,000万円に抑えた理由|借りられる額ではなく、返せる額で決めました
5. なぜ「金利3%」を線にしたのか
基本は教育資金を優先します。でも、住宅ローンを放っておくわけにもいきません。
そこで、金利が3%を超えたら繰り上げ返済を検討するという線を引きました。いまは1.475%です。
3%で何が変わるのか
毎月の返済額のうち、元金に回る分と利息に回る分の割合が変わります。
| 年利 | 元金に回る分の割合 |
|---|---|
| 1.475%(いま) | 約75% |
| 2.0% | 約66% |
| 3.0% | 約49% |
| 4.0% | 約31% |
3%を超えると、返しているお金の半分以上が利息に消えます。そこまで来たら、教育資金より先にローンを減らしたほうがよい、と考えました。
もうひとつ、手数料の問題があります
私が借りたところでは、一部だけ繰り上げ返済すると手数料がかかり、全額を一括で返す場合はかかりません。
こまめに少しずつ返していくと、そのたびに手数料が乗ります。だから私は、返すときは一括でと決めています。
手数料の有無と金額は金融機関によって違います。繰り上げ返済を考えている方は、先に窓口で確認してください。「いくらから」「何回まで無料か」も、あわせて聞いておくとよいです。
逆に言えば、そこまでは教育資金を優先してよいということでもあります。線を決めておくと、毎年の金利の通知を見るたびに迷わずにすみます。
金利が上がったときの話は、こちらです。→ 住宅ローンの変動金利が上がった|返済額が変わらない5年ルール
6. 「いま全部を決めない」と決めました
ここがいちばん伝えたいところかもしれません。
いまの時点では、答えが出ないのです。これから金利がどうなるか、子どもたちがどんな進路を選ぶか、わからないからです。
だから判断する時期のほうを決めました。
📅 上の子が進路を決めるころに、もう一度考える
そのときには、こちらが見えているはずです。
- 住宅ローンの金利が、どこまで上がったか
- 貯め時のあいだに、実際いくら貯まったか
- 上の子の進路に、実際いくら必要か
そこでローンを減らすのか、下の子たちの教育資金を厚くするのかを決めます。
先送りとは違います。先送りは「そのうち考える」、これは「この時期に、この材料で考える」です。
いま決められないことを無理に決めると、あとで状況が変わったときに動けなくなります。決める時期を決めておくほうが、身軽でいられます。
まとめ
📋 この記事のまとめ
- 基本は教育資金を優先。ただし金利が3%を超えたら繰り上げ返済を検討する
- 年表を作ってわかったのは「重なること」ではなく、貯め時が何年あって、いくら貯められるかだった
- 動かせる出費と、動かせない出費を分ける。車の買い替えは進学の年とずらすことにした
- 目標は1人あたり18歳までに400万円。うち200万円は学資保険で確保ずみ
- ★生命保険は解約し、学資保険は解約しなかった。払い込みが済んでいて、解約すると2割しか戻らないため
- ★いま全部を決めない。上の子が進路を決めるころに、金利と貯蓄を見てもう一度決める
住宅ローンと教育費のどちらが先かは、家庭によって答えが変わります。金利も、進路も、収入の見通しも違うからです。
でも、やることは同じだと思います。年表に書き出して、動かせる出費を見つけて、判断する線と時期を決めておく。
それだけで、「漠然と苦しい」が「いつ、いくら足りないか」に変わります。そこまで来れば、手の打ちようがあります。
よくある質問(FAQ)
Q. 住宅ローンと教育費、どちらを優先すべきですか
A. 家庭によって変わります。私は基本を教育資金優先にしましたが、それはいまの金利が低く、教育費がかかる時期までまだ時間があるからです。金利が高い方や、進学が目前の方では答えが変わります。ご自分の金利と、教育費がかかるまでの年数を書き出してから決めてください。私は「金利3%」を切り替えの線にしました。
Q. 繰り上げ返済はしないほうがいいのですか
A. 私はいまのところ、していません。金利が1.475%で、返済額のうち約75%が元金に回っているからです。この状態なら、手元に置いて教育資金に備えるほうがよいと判断しました。ただし金利が3%を超えると、元金に回る分が半分以下になります。そこを超えたら考え直すつもりです。繰り上げ返済が有利かどうかは、金利によって変わります。
Q. 教育費は1人あたりいくら貯めればいいですか
A. 進路によって大きく変わります。私は公立高校から私立文系・自宅通学を想定して、1人あたり18歳までに400万円を目標にしました。国公立ならもっと少なく、私立理系や下宿が入るともっと必要です。文部科学省が公表している費用の目安を使うと、現実的な数字が置けます。まず仮の数字で置いて、進路が見えてきたら直せば十分です。
Q. 学資保険は解約して繰り上げ返済に回したほうがいいですか
A. 解約したらいくら戻るかを、先に確認してください。私の学資保険はすでに払い込みが終わっていて、途中で解約すると2割ほどしか戻りませんでした。それでは損なので残しています。一方で、積み立て型の生命保険のほうは解約して返済に回しました。同じ「保険」でも、払い込みの進み具合で答えが逆になります。保険会社に解約返戻金を聞いてから判断してください。
Q. ライフプラン表は、どうやって作ればいいですか
A. 縦に年、横に出来事を並べるだけです。紙でも表計算でも構いません。進学の年は、いまの年齢から機械的に埋まります。そこに大きな出費・ローン残高・貯蓄の見込みを足します。コツは動かせる出費と動かせない出費を分けて書くこと。私はこれで、車の買い替えを進学の年からずらすことにしました。一度作れば、あとは年に一度直すだけです。
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この記事を書いた人
メイ|現役薬剤師(調剤歴15年)・FP2級
製薬会社の研究職から調剤薬局へ転職し、岩手で管理薬剤師を経験。現在は東京で3人の子どもを育てながら、施設在宅をメインにパート薬剤師として働いています。ファイナンシャルプランナー2級。家計のライフプラン表を毎年見直しています。
※本記事は筆者が自分の家計で考えたことの記録であり、個別の金融相談・投資助言ではありません。記載の金額・金利・目標額は筆者の一例で、ご家庭の収入・進路・金利によって答えは変わります。保険の解約返戻金は契約内容と払い込みの進み具合によって大きく異なりますので、必ず保険会社にご確認ください。繰り上げ返済の可否や手数料も金融機関によって違います。ご自身の数字で計算し、必要に応じて窓口にご相談のうえご判断ください。

