ドーピング対象になる意外な市販薬|かぜ薬・鼻炎薬の注意成分を薬剤師が解説

薬の知識
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監修・執筆:薬剤師 メイ

調剤歴15年(製薬会社研究職→調剤薬局・管理薬剤師・在宅薬剤師)。3人の子を育てるママ薬剤師。服薬指導数千件の経験をもとに、正確でわかりやすい薬の情報を発信しています。|プロフィール詳細

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「まさか市販の風邪薬がドーピング違反になるの?」——スポーツをしている方や、お子さんが部活・競技に取り組んでいる保護者の方に、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。ドーピング禁止物質は、処方薬だけでなく市販薬・サプリメントにも含まれていることがあります。知らずに飲んでしまい、競技資格を失うケースが実際に起きています。薬剤師として正確な情報をお伝えします。

ドーピング規則は競技団体・競技レベルによって異なります。この記事はWADA(世界アンチ・ドーピング機関)の禁止リストに基づく一般的な情報提供です。競技に参加している方は必ずご自身の競技団体のルールを確認し、薬剤師・チームドクターにご相談ください。

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なぜ市販薬がドーピング違反になるのか

ドーピングとは、競技能力を不正に高めるために禁止された物質を使用・所持することです。WADA(世界アンチ・ドーピング機関)が毎年禁止リストを更新しており、日本ではJADA(日本アンチ・ドーピング機構)がその情報を公開しています。

重要なのは、「ドーピング違反は故意かどうかに関わらず成立する」という点です。「知らなかった」「市販薬だから大丈夫だと思った」という理由は原則として免責になりません。自分が飲んでいる薬・サプリに禁止物質が含まれていないかを確認する責任は、競技者本人にあります。

特に注意が必要な市販薬の成分

成分名 含まれやすい薬 禁止区分 注意点
プソイドエフェドリン
(塩酸プソイドエフェドリン)
パブロンゴールドA・エスタックイブファイン・コルゲンコーワなど多くの総合風邪薬・鼻炎薬 競技時禁止
(閾値あり)
最も注意が必要な成分のひとつ
メチルエフェドリン エスタック・新エスタック・ベンザブロックなど多くの総合風邪薬・咳止め薬 競技時禁止 風邪薬に広く含まれる
コデイン・ジヒドロコデイン 咳止め薬・総合感冒薬
(一部の市販薬)
要確認
(競技団体による)
モルヒネに代謝される成分
カフェイン(高用量) 栄養ドリンク・眠気防止薬 監視リスト 現在は禁止外だが高用量は要注意
β2作動薬(一部) 気管支拡張薬・喘息薬 原則禁止
(TUE申請可能)
喘息治療で使用する場合はTUEが必要
ドーピング注意が必要な市販薬の成分一覧

⚠️ 特に注意:プソイドエフェドリンとメチルエフェドリン
これらの成分は多くの市販の総合風邪薬・鼻炎薬に含まれており、「鼻づまりをとる成分」として配合されています。商品名だけを見ても含有成分がわかりにくいため、必ず成分表示を確認してください。

サプリメントも要注意

市販薬と同様に、サプリメントにも禁止物質が含まれることがあります。特に筋肉増強・ダイエット・エネルギー補給を目的としたサプリには注意が必要です。

  • プロテイン・アミノ酸系サプリ → 製造工程での混入リスクがある
  • ダイエット系・脂肪燃焼系サプリ → エフェドリン類似成分が含まれることがある
  • 漢方薬 → 葛根湯(かっこんとう)・小青竜湯(しょうせいりゅうとう)・麻黄湯(まおうとう)・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)(コッコアポEX錠など)に麻黄が含まれエフェドリン類が検出される。「漢方だから安全」は誤り

現場エピソード

マラソンを趣味にされている患者さんが花粉症の薬を相談しにいらっしゃいました。「市の大会に出るんですが、薬は大丈夫ですか?」とひと言添えてくださったおかげで、プソイドエフェドリンを含まない薬を選ぶことができました。競技に参加する予定があるときは、薬を選ぶ際に必ずそのことを薬剤師に伝えてください。

グローバルDROで自分で確認する方法

「グローバルDRO(Drug Reference Online)」は、WADAが公認する薬の禁止物質確認ツールです。日本語にも対応しており、薬の商品名を入力するだけで禁止物質が含まれているかどうかを確認できます。

ただし、グローバルDROで「禁止外」と表示されても、確認した日付・バージョンが古い場合や、競技団体固有のルールによっては異なる判断になることがあります。最終的な判断は、チームドクターや薬剤師への相談と組み合わせることをおすすめします。

確認ツールの活用方法
①グローバルDRO(globaldro.com)にアクセス
②「Japan(日本)」を選択
③薬の商品名または成分名を入力して検索
④結果を確認し、不明な点は薬剤師・チームドクターへ相談

薬剤師に相談するときに伝えてほしいこと

競技に参加している方が薬局で薬を選ぶ際は、以下を薬剤師に伝えてください。対応できる選択肢が広がります。

  • スポーツ競技(または部活・大会)に参加していること
  • 競技団体名・競技レベル(国際大会・国内大会・学校大会など)
  • 直近の試合・大会の日程
  • 現在飲んでいる薬・サプリ

これらを伝えることで、薬剤師がドーピング禁止成分を含まない代替薬を一緒に探すことができます。

よくある質問(FAQ)

Q. 風邪をひいたとき、どの市販薬なら使えますか?

A. 成分名で確認するのが確実です。エフェドリン・メチルエフェドリン・プソイドエフェドリンを含むかぜ薬・鼻炎薬は競技会時の禁止対象になります。単一成分のアセトアミノフェンや、うがい薬・トローチは使えることが多いですが、「かぜ薬」とひとくくりにせず、必ず箱の成分表示を見て確認してください。判断に迷ったら、購入前に薬剤師に競技名を伝えて相談してください。

Q. 咳止めはドーピングの対象になりますか?

A. 成分によります。かつて禁止されていたコデイン類は現在は対象外ですが、メチルエフェドリンを含む咳止めは競技会時の禁止対象です。総合的な咳止めシロップには複数の成分が入っているため、思わぬ成分が含まれていることがあります。デキストロメトルファンのみのものなど、成分の少ない製品を選ぶほうが確認しやすいです。

Q. うっかり飲んでしまいました。どうすればいいですか?

A. まず飲んだ薬の箱や説明書を手元に残してください。競技団体のアンチ・ドーピング担当、または所属チームのスポーツファーマシスト(薬に詳しい薬剤師)にすぐ連絡します。成分・飲んだ量・日時を正確に伝えられることが大切です。自己判断で「大丈夫だろう」と黙っているのがいちばん危険なので、早めに相談してください。

まとめ

  • ドーピング違反は「知らなかった」では原則免責にならない
  • プソイドエフェドリン・メチルエフェドリンは市販の風邪薬・鼻炎薬に含まれることがある
  • 漢方・生薬系の麻黄(マオウ)にもエフェドリン類が含まれる
  • グローバルDROで商品名・成分名を確認する習慣をつける
  • 薬局では「競技に参加している」ことを必ず薬剤師に伝える
  • 最終確認はチームドクター・薬剤師に相談する

あわせて読みたい:市販サプリを買う前に確認すべき5つのこと / 花粉症薬、眠くならないのはどれ?

競技前の薬の確認はかかりつけ薬局へ

「この薬はドーピングに引っかかる?」と気になったら、かかりつけ薬局の薬剤師にご相談ください。競技団体・試合日程を教えていただければ、禁止成分を含まない代替薬を一緒に探します。


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薬剤師メイ

この記事を書いた人

メイ|現役薬剤師(調剤歴15年)

製薬会社の研究職から調剤薬局へ転職し、岩手で管理薬剤師を経験。現在は東京で3人の子どもを育てながら、施設在宅をメインにパート薬剤師として働いています。数千件の服薬指導で実際に受けたご質問をもとに、「難しい薬の知識をわかりやすく」をモットーに発信しています。

→ プロフィール詳細・転職体験記はこちら𝕏 @mei_yakuzaishi

※本記事は薬剤師による一般的な情報提供を目的としており、ドーピング規則の最終判断は各競技団体・チームドクターにご確認ください。禁止リストは毎年更新されます。必ず最新情報をご確認ください。

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