「1,800万円までなら貸せます」
窓口でそう言われました。でも、実際に借りたのは1,000万円です。
正直に書くと、1,800万円と言われたとき、最初に思ったのは「なんだ、1,800万円か」でした。もともと3,300万円を借りるつもりで相談に行っていたからです。
少ないと思ったのです。でも、調べたら逆でした。
3,300万円では、私の収入では返せなくなる可能性がある。そしてそれは1,800万円でも同じでした。返済のシミュレーションをしてみて、生活がきつくなることに気づきました。
この記事は、借りられる額ではなく、返せる額で決めたときの記録です。
💡 この記事でいちばん伝えたいこと
大事なのは「いくら借りられるか」ではなく、「いくらなら返せるか」です。
金融機関が出してくるのは貸せる額です。返せる額ではありません。この2つはまったく別のもので、返せる額を決められるのは、自分だけでした。
📝 この記事でわかること
- 1,000万円と1,800万円で、毎月いくら・総額でいくら違うのか
- 私がいちばん先に決めた1つのことと、そこからの逆算
- 手元の現金を、どこまで頭金に入れて、どこを残したか
- 借入額を抑えたことが、そのまま金利上昇への備えになっていた話
1. 「借りられる額」と「返せる額」は、別のものでした
まず数字を並べます。どちらも20年・年利1.475%で計算したものです。
| 毎月の返済額 | 総返済額 | 手取り22万円に対して | |
|---|---|---|---|
| 1,000万円(実際に借りた額) | 約48,100円 | 約1,155万円 | 約22% |
| 1,800万円(借りられた額) | 約86,700円 | 約2,080万円 | 約39% |
毎月の差は約38,500円。20年で積み上げると、総返済額の差は約924万円になります。
そして、私の手取りは月22万円ほどです。1,800万円を借りていたら、手取りの約4割が返済に消えていました。
「貸せます」は、「返せます」ではありませんでした。金融機関は、私が返せるかどうかを保証してくれるわけではありません。審査に通る額と、生活を壊さずに返していける額は、重なっているとはかぎりませんでした。
2. いちばん先に決めたのは「毎月いくらまでか」でした
借入額をいくらにするか、ではありません。毎月いくらまでなら返せるかを先に決めました。
📌 私が引いた線
毎月の返済額は5万円以内。
そうすれば、私の手取り収入の中だけで返していけるからです。
実際の返済額は47,000円になりました。手取り22万円に対して、約22%です。
この額なら、いまも余裕があります。子どもの急な出費があっても、返済が重くのしかかることはありません。
先に毎月の上限を決めてしまうと、借入額は自動的に決まります。順番が逆だと、提示された額に引っぱられます。
なぜ「手取りの中だけで」にこだわったか
私はパートで働いています。収入が増える見込みを前提にした計画は、立てたくありませんでした。
いまの働き方のまま、いまの手取りのままで返していける額。そこを超えないようにしました。
3. 「なんだ1,800万か」から「1,800万でも多い」へ
ここは、自分でも順番が逆だったと思うところです。
| 時期 | 思っていたこと |
|---|---|
| 相談に行く前 | 3,300万円を借りるつもりだった |
| 1,800万円と言われた直後 | 「なんだ、1,800万円か」と思った |
| 返済の計算をしたあと | 1,800万円でも生活がきつくなるとわかった |
最初は「思ったより少ない」という受け取り方でした。それが、計算してみたら「多すぎる」に変わりました。
金額を提示されると、それが基準に見えてしまいます。「1,800万円まで」と言われたら、1,500万円くらいなら控えめだろう、という気がしてくる。
でも基準は、相手が出す額ではありませんでした。自分の毎月の手取りです。
⚠️ 提示額を見る前に、自分の線を決めておく
窓口で額を言われてから考え始めると、どうしてもその数字に引っぱられます。先に「毎月いくらまで」を紙に書いてから行くと、ぶれません。
4. 削ったもの、残したもの
3,300万円を1,000万円まで下げるために、手元のお金を入れました。ただし、全部ではありません。何を入れて、何を残すかを決める必要がありました。
| 判断 | |
|---|---|
| 積み立て型の生命保険 | 解約した。1,200万円を返済に回した |
| 貯金の一部 | 返済に回した |
| 生活防衛費 | 残した。ここは削らないと決めていた |
| 子どもの教育資金 | 一部だけ残して、残りは返済に回した。これからまだ貯められると考えた |
生活防衛費を残した理由
借入額は下げたい。でも、手元に何もない状態にはしたくありませんでした。
子どもが3人います。急な出費は必ずあります。そこで現金がなければ、結局また借りることになります。借入額を減らすために手元を空にするのは、本末転倒だと思いました。
教育資金は、一部だけ残しました
いちばん迷ったところです。手元の教育資金をどこまで返済に回すか。
全部そのまま残しておくことも考えました。でも、教育資金はこれからまだ貯められると思いました。子どもたちが大きな費用を必要とするまで、まだ時間があります。
一方で、住宅ローンは借りるときにしか額を決められません。あとから「やっぱり減らしたい」と思っても、繰り上げ返済という形でしかできません。
いま動かせるほうを、先に動かしました。教育資金は一部だけ手元に残して、残りは返済に回しています。
全部を入れなかったのは、進学の時期が重なることもあるからです。ゼロにはしませんでした。
どこまで入れるかは、お子さんの年齢や家計によって変わると思います。私はこう判断した、というだけの話です。
5. 金利が上がることは、借りる前から考えていました
借入額を下げたかった理由のひとつが、これです。これから金利は上がっていくだろうと思っていました。
実際、借りた2か月後に上がりました。1.225%から1.475%です。
そのときに気づいたのですが、借入額を抑えたことが、そのまま金利上昇への備えになっていました。
| 年利 | 1,000万円なら | 1,800万円なら | 差 |
|---|---|---|---|
| 1.475%(いま) | 48,140円 | 86,651円 | 38,511円 |
| 2.0% | 50,588円 | 91,059円 | 40,471円 |
| 3.0% | 55,460円 | 99,828円 | 44,368円 |
| 4.0% | 60,598円 | 109,076円 | 48,478円 |
金利が4%になったとき、1,800万円を借りていたら毎月109,000円ほど。私の手取りの半分です。1,000万円なら60,000円ほどで、約28%に収まります。
金利は自分で決められません。でも借入額は、借りるときだけ自分で決められます。
金利が上がったときの話は、こちらに書きました。→ 住宅ローンの変動金利が上がりました|返済額は変わらないのに、元金の減りが遅れていた話
6. 借入額ごとの数字を並べてみました
ご自分の場合に当てはめやすいよう、借入額ごとに出してみました。20年・年利1.475%の場合です。
| 借入額 | 毎月の返済額 | 総返済額 | うち利息 |
|---|---|---|---|
| 1,000万円 | 48,140円 | 約1,155万円 | 約155万円 |
| 1,200万円 | 57,768円 | 約1,386万円 | 約186万円 |
| 1,500万円 | 72,209円 | 約1,733万円 | 約233万円 |
| 1,800万円 | 86,651円 | 約2,080万円 | 約280万円 |
借入額が増えると、利息も比例して増えます。1,000万円なら利息は約155万円、1,800万円なら約280万円です。
まとめ
📋 この記事のまとめ
- 1,800万円まで借りられたが、借りたのは1,000万円
- いちばん先に決めたのは借入額ではなく、「毎月5万円以内」という上限
- 実際は47,000円。手取り22万円の約22%で、いまも余裕がある
- 1,800万円だったら手取りの約39%。総返済額の差は約924万円
- 生命保険を解約し、教育資金も一部だけ残して返済に回した。ただし生活防衛費は削らなかった
- ★借入額を抑えたことが、そのまま金利上昇への備えになっていた
窓口で「1,800万円まで」と言われたとき、私は「少ない」と思いました。その感覚のまま借りていたら、いま苦しかったと思います。
💡 もう一度だけ
借りられる額ではなく、返せる額で決めてください。
窓口が出すのは貸せる額です。それを基準にすると、どうしても引っぱられます。先に「毎月いくらまでなら返せるか」を決めてから行く。それだけで、見える景色が変わりました。
そもそもパートで住宅ローンが組めるのか、という話はこちらです。→ パート薬剤師でも住宅ローンは組めました|勤続1年未満・単独名義で通った記録
よくある質問(FAQ)
Q. 住宅ローンは1,000万円でも組めますか
A. 組めました。私はパート・勤続1年未満・単独名義で、1,000万円を20年で借りています。金融機関によっては最低借入額が決まっていることがあるので、窓口でご確認ください。少額だと断られる、ということはありませんでした。むしろ、3,300万円で相談したときのほうが「審査も出せない」と言われています。
Q. 借入額はどうやって決めればいいですか
A. 私は「毎月いくらまでなら返せるか」を先に決めて、そこから逆算しました。借りられる額を聞いてから考えると、その数字に引っぱられます。窓口へ行く前に、毎月の上限を紙に書いておくことをおすすめします。私は「5万円以内なら手取りの中だけで返せる」という線を引きました。
Q. 返済額は手取りの何割までが目安ですか
A. 決まった正解はありません。家族の人数、ほかの支出、収入が増える見込みによって変わるからです。私の場合は手取りの約22%で、余裕を感じています。1,800万円を借りていたら約39%になる計算で、そこは厳しいと判断しました。ご自分の家計に当てはめて計算してみてください。
Q. 手元の現金は、全部頭金に入れたほうがいいですか
A. 私は全部は入れませんでした。積み立て型の生命保険は解約して1,200万円を返済に回し、子どもの教育資金も一部だけ残して、残りは返済に回しています。教育資金はこれからまだ貯められると考えたからです。ただし生活防衛費だけは削りませんでした。手元を空にして借入額を減らしても、急な出費でまた借りることになれば意味がないと考えたためです。どこまで入れるかは、お子さんの年齢や収入の安定度によって変わると思います。
Q. 金利が上がりそうなときは、借入額を減らしたほうがいいですか
A. 私はそう考えて減らしました。金利は自分で決められませんが、借入額は借りるときだけ自分で決められるからです。実際に借りた2か月後に金利が上がりましたが、1,000万円に抑えていたおかげで、毎月の負担はほとんど変わりませんでした。ただし借入額を減らすために手元の現金を使いすぎると、別のリスクが出ます。どちらがよいかは条件によって変わりますので、ご自分の数字で計算してみてください。
📖 あわせて読みたい

この記事を書いた人
メイ|現役薬剤師(調剤歴15年)・FP2級
製薬会社の研究職から調剤薬局へ転職し、岩手で管理薬剤師を経験。現在は東京で3人の子どもを育てながら、施設在宅をメインにパート薬剤師として働いています。数千件の服薬指導で実際に受けたご質問をもとに、「難しい薬の知識をわかりやすく」をモットーに発信しています。
※本記事は筆者が実際に経験したことの記録であり、個別の金融相談・投資助言ではありません。記載の金額・金利・返済額は筆者の一例で、借入条件や金融機関によって異なります。記事中の試算は筆者が自分の条件で計算したもので、金融機関の提示額ではありません。借入額や頭金の判断はご家庭の状況によって変わりますので、必ずご自身で計算し、金融機関の窓口にご相談のうえご判断ください。

