住宅ローンを借りたのは、2026年3月31日でした。
その翌日の日付で、一通の通知が作られていました。手元に届いたのは4月のはじめです。
金利を上げるという知らせでした。1.225%から1.475%へ。0.25%の上昇です。適用が始まるのは6月6日、返済額の内訳に反映されるのは7月の返済分からと書かれていました。
借りた翌日に、値上げの通知が作られていたことになります。
正直に書くと、最初に思ったのは「この程度の上昇でよかった」でした。
同封されていた一覧には、新しい金利と毎月の返済額が並んでいます。そこを見ると、返済額は47,000円のまま、変わっていませんでした。
ほっとしました。でも、あとから調べて安心しきってはいけないとわかりました。
返済額が変わらないことと、負担が変わらないことは、別の話だったからです。
📝 この記事でわかること
- 金利が上がったとき、どんな形で知らされるのか
- 上がったのに毎月の返済額が変わらない理由(5年ルール・125%ルール)
- 返済額が同じでも、中身で何が起きているか
- もっと上がったら、うちはどうなるのか。金利ごとに計算しました
1. 知らせは郵便で届きました
アプリの通知でも、ネットバンキングの画面でもなく、紙の郵便でした。
中に入っていた一覧に、こう並んでいました。
| これまで | 新しい金利 | |
|---|---|---|
| 基準金利 | 1.875% | 2.125% |
| 私に適用される年利 | 1.225% | 1.475% |
| 変動幅 | - | 0.250% |
| 毎月の返済額 | 47,000円 | 47,000円(空欄=変わらず) |
基準金利が0.25%上がり、そのぶんがそのまま私の金利に乗りました。基準から0.65%引いてもらっているのが私の条件です。この引き幅は借りるときに決まったもので、途中では変わりません。
返済額が変わらないことは、その場でわかりました。金利と返済額が同じ紙に並んでいたからです。
変動金利で借りている方は、この郵便を捨てないでください。いまの金利と、これからの返済額が書いてある、いちばん確かな紙です。
2. 上がったのに、なぜ返済額が変わらないのか
理由は2つの決まりごとです。わたしも、この郵便が来てから知りました。
5年ルール
変動金利で元利均等返済を選んでいる場合、毎月の返済額の見直しは5年ごとと決められています。
金利そのものは半年ごとに見直されますが、返済額は5年間すえ置かれます。だから、金利が上がってもすぐには返済額が動きません。
125%ルール
5年たって返済額が見直されるときも、それまでの返済額の1.25倍を超えないという決まりがあります。
私の場合なら、47,000円 × 1.25 = 58,750円が上限です。いきなり倍になることはありません。
⚠️ このルールが使えない場合があります
5年ルールと125%ルールは、変動金利かつ元利均等返済のときの決まりです。元金均等返済を選んでいる場合には、このルールはありません。ご自分がどちらで借りているかは、契約書か金融機関にご確認ください。
出典:三菱UFJ銀行「住宅ローンの5年ルール・125%ルールについて知りたい。」/SBI新生銀行「変動金利の5年ルールと125%ルールとは?」
3. ここで安心してはいけませんでした
ここからが、調べて驚いたところです。
返済額が変わらないのは、負担が変わらないという意味ではありません。変わるのは、47,000円の中身です。
毎月の返済額は、利息の分と元金の分に分かれています。金利が上がると、利息に回る分が増えて、元金に回る分が減ります。
| 利息に回る分 | 元金に回る分 | |
|---|---|---|
| 1.225%だったら | 約10,100円 | 約36,900円 |
| 1.475%(実際) | 12,155円 | 34,845円 |
下の段が、銀行の返済予定表に実際に印字されている数字です(2026年7月6日の回)。
差は月に2,000円ほどです。小さく見えます。でも、その2,000円は元金が減らなかった分です。
銀行から届いた返済予定表の数字で計算してみました。新しい金利になってからの6回で、元金の減りが約1万2千円ぶん遅れていました。返済額は1円も増えていないのにです。
返済額が据え置かれても、利息の負担が消えるわけではありません。先送りになっているだけです。
4. もっと上がったら、うちはどうなるのか
今回は0.25%でした。では、この先もっと上がったらどうなるのか。残高を約968万円として、金利ごとに計算してみました。
| 年利 | 利息に回る分 | 元金に回る分 | 元金の割合 |
|---|---|---|---|
| 1.225% | 9,881円 | 37,119円 | 79% |
| 1.475%(いま) | 11,898円 | 35,102円 | 75% |
| 2% | 16,133円 | 30,867円 | 66% |
| 2.475% | 19,965円 | 27,035円 | 58% |
| 3% | 24,200円 | 22,800円 | 49% |
| 4% | 32,266円 | 14,734円 | 31% |
| 5% | 40,333円 | 6,667円 | 14% |
3%になると、元金に回るのは半分以下になります。返済額は47,000円のままなのに、です。
1%上がって2.475%になった場合で計算すると、1年で約10万円ぶん、元金の減りが遅くなりました。
🚨 さらに上がると「未払利息」が出ます
私の条件で計算すると、年利がおよそ5.8%を超えたとき、1か月分の利息が返済額の47,000円を超えます。
そうなると、払っても元金がまったく減らないどころか、払いきれなかった利息が積み上がっていきます。これを未払利息といいます。5年ルールは返済額をすえ置きますが、この状態まで守ってくれるわけではありません。
私に届いた返済予定表にも、未払利息の欄と注意書きがありました。「返済額を超えた部分は未払利息となる」「未払利息は翌月の返済額から元金より先に支払われる」「未払利息にさらに利息が付くことはない」の3点です。利息に利息はつきませんが、そのぶん元金はまったく減らなくなります。
いますぐ起こる話ではありません。ただ、「返済額が変わらないから大丈夫」ではないことは、知っておいたほうがよいと思いました。
5. 5年後の見直しで、いくらになるか計算してみました
5年ルールがあるということは、5年後には必ず見直しがあるということでもあります。そこでいくらになるのかを計算してみました。
いまの金利のまま5年返したとして、残高はおよそ783万円。残りは180回です。そこから先の返済額を、金利ごとに出すとこうなりました。
| 5年後の金利 | 新しい返済額 | いまとの差 |
|---|---|---|
| 1.475%(これ以上上がらなかった場合) | 約48,500円 | +約1,500円 |
| 2.0% | 約50,400円 | +約3,400円 |
| 2.475% | 約52,100円 | +約5,100円 |
| 3.0% | 約54,100円 | +約7,100円 |
| 4.0% | 約57,900円 | +約10,900円 |
💡 いちばん意外だったこと
金利がこれ以上まったく上がらなくても、5年後の返済額は約1,500円ふえる計算になりました。
いまの47,000円は、借りたときの1.225%を前提に決まった額だからです。1.475%になった時点で、その額では返しきれないペースに入っています。その遅れが、5年後にまとめて返済額に乗ってきます。
私の条件では、5年後の金利が約4.2%までなら、125%の上限(58,750円)におさまる計算でした。
ここまで出して、ようやく見通しが立ちました。こわいのは金利そのものより、計算していないことだと思います。
6. それでも、私は変動のままでいます
今回が、借りてから初めての金利上昇です。
世の中が金利のある世界に戻ってきているので、今後も上がっていくだろうと覚悟しています。
それでも固定に変えていないのは、いまのところ元金に回る分が7割以上あって、返せる見通しが立っているからです。これは借入額を1,000万円まで下げたからでもあります。
ただ、今回わかったのは「覚悟する」だけでは足りないということでした。
郵便が来たとき、私は「この程度でよかった」と思って終わりかけました。数字を見るまで、元金の減りが遅れていることに気づいていませんでした。
7. 変動で借りている方に、いまできること
✅ 3つだけ
- 金利の知らせの郵便を捨てない。金利と返済額が並んで書いてあります
- 返済額が変わらなくても、残高の減り方を見る。変わるのはそこです
- 自分の条件で一度だけ計算しておく。金融機関のシミュレーターでも、表計算でも構いません
いちばん大事なのは3つ目だと思っています。一度計算しておけば、次に郵便が来たときに慌てずにすみます。
まとめ
📋 この記事のまとめ
- 借りて2か月で金利が上がった。1.225% → 1.475%。知らせは郵便で届いた
- 毎月の返済額は47,000円のまま。5年ルールで返済額の見直しは5年ごとだから
- 見直しのときも1.25倍が上限(125%ルール)。ただし元金均等返済にはこのルールがない
- ★返済額が同じでも、中身は変わっている。利息に回る分が増え、元金が減らなくなる
- 計算したところ、6回で元金の減りが約1万2千円ぶん遅れていた
- 3%になると元金に回るのは半分以下。約5.8%を超えると未払利息が出る
- ★金利がこれ以上上がらなくても、5年後の返済額は約1,500円ふえる計算だった(いまの額は1.225%を前提に決まったものだから)
返済額が変わらないのは、ありがたい仕組みです。でもそれは猶予であって、免除ではありませんでした。
同じように変動で借りている方が、郵便を見て「変わってないから大丈夫」で終わらないように、この記事を書きました。
そもそもパートで住宅ローンが組めるのか、という話はこちらに書きました。→ パート薬剤師でも住宅ローンは組めました|勤続1年未満・単独名義で通った記録
よくある質問(FAQ)
Q. 金利が上がったのに、返済額が変わらないのはなぜですか
A. 5年ルールがあるからです。変動金利で元利均等返済を選んでいる場合、毎月の返済額の見直しは5年ごとと決められています。金利そのものは半年ごとに見直されますが、返済額はすえ置かれます。ただし元金均等返済を選んでいる場合、このルールはありません。ご自分がどちらかは契約書か金融機関にご確認ください。
Q. 返済額が変わらないなら、損はしていないのですか
A. そうとはいえません。変わるのは返済額ではなく、その中身です。利息に回る分が増えて、元金に回る分が減ります。私の場合、0.25%上がったことで月に2,000円ほど元金の減りが遅くなり、6回で約1万2千円ぶんの差になりました。利息の負担が消えたのではなく、先送りになっています。
Q. 5年たつと、返済額はどれくらい上がりますか
A. 125%ルールで、それまでの1.25倍が上限です。私の場合は47,000円×1.25で58,750円まで。いきなり倍になることはありません。ただし上限まで上がる可能性はありますし、5年後の金利がいくらかは誰にもわかりません。上限の額を一度計算しておくと、見通しが立てやすくなります。
Q. 未払利息とは何ですか
A. 1か月分の利息が、毎月の返済額を超えてしまった状態です。こうなると払っても元金が減らず、払いきれなかった利息が積み上がっていきます。私の条件では年利がおよそ5.8%を超えたときに起こる計算でした。5年ルールは返済額をすえ置きますが、この状態まで防いでくれるわけではありません。
Q. 固定金利に変えたほうがよいですか
A. 私には判断できません。借入額、残りの年数、収入の見通し、どこまでの上昇に耐えられるかで答えが変わるからです。私自身は、元金に回る分がまだ7割以上あることと、借入額を抑えたことを理由に変動のままにしています。判断する前に、ご自分の条件で金利ごとの返済額を計算してみてください。そのうえで金融機関に相談されるのがよいと思います。
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この記事を書いた人
メイ|現役薬剤師(調剤歴15年)・FP2級
製薬会社の研究職から調剤薬局へ転職し、岩手で管理薬剤師を経験。現在は東京で3人の子どもを育てながら、施設在宅をメインにパート薬剤師として働いています。数千件の服薬指導で実際に受けたご質問をもとに、「難しい薬の知識をわかりやすく」をモットーに発信しています。
※本記事は筆者が実際に経験したことの記録であり、個別の金融相談・投資助言ではありません。記載の金利・返済額・残高は筆者の一例で、借入条件や金融機関によって異なります。記事中の試算は筆者が自分の条件で計算したもので、金融機関の提示額ではありません。5年ルール・125%ルールの適用は返済方法や契約内容によって変わりますので、ご自分の条件は必ず契約書または金融機関の窓口にご確認ください。

