痔の市販薬の選び方|ボラギノール・プリザエースの違いを薬剤師が解説

市販薬ガイド
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監修・執筆:薬剤師 メイ

調剤歴15年(製薬会社研究職→調剤薬局・管理薬剤師・在宅薬剤師)。3人の子を育てるママ薬剤師。服薬指導数千件の経験をもとに、正確でわかりやすい薬の情報を発信しています。|プロフィール詳細

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「痔は恥ずかしくて病院に行きづらい…」という声を、薬剤師として何度も耳にしてきました。実際、成人の3人に1人は痔の悩みを持つとも言われる、とても身近なトラブルです。市販薬でセルフケアできるケースも多い一方で、自分のタイプに合わない薬を選ぶと、効かないだけでなく悪化させてしまうこともあります。この記事では、痔のタイプ別の市販薬の選び方と、代表的な製品(ボラギノール・プリザエースなど)の違いを、現場目線でわかりやすく解説します。

まずは自分の「痔のタイプ」を知ろう

痔の3タイプ(いぼ痔・切れ痔・あな痔)の特徴と市販薬でケアできるかの目安
痔の3タイプと、市販薬でケアできるかの目安

痔は大きく分けて3つのタイプがあります。市販薬選びの出発点は、まず「自分がどのタイプか」を見きわめることです。

① いぼ痔(痔核)

肛門の静脈がうっ血してこぶ状になったもので、最も多いタイプです。直腸側の粘膜にできる「内痔核(ないじかく)」と、肛門の外側の皮膚にできる「外痔核」があります。出血や、いぼが外に出てくる脱肛を伴うこともあります。

② 切れ痔(裂肛・さけ痔)

硬い便などで肛門の出口が切れたものです。排便時の鋭い痛みと、ペーパーに血がつく程度の少量の出血が特徴で、便秘がちの人によく見られます。

③ あな痔(痔瘻・じろう)

肛門の周囲にトンネル(穴)ができて膿がたまるタイプです。これは市販薬では治せず、原則として手術が必要になります(詳しくは後述します)。

痔の市販薬は「剤形」で選ぶ

痔の市販薬は、成分だけでなく「剤形(くすりのかたち)」がとても重要です。症状の出る場所によって、適した剤形が変わります。

注入軟膏(ノズル付き):内痔核・外痔核のどちらにも使える万能タイプ。指では届かない内部にも注入できます。迷ったらまずこれ。

軟膏(チューブ):外痔核や皮膚の表面に塗るタイプ。指で塗れる範囲に向いています。

坐剤(ざざい):肛門の奥に挿入するタイプ。内痔核向きですが、出口付近の症状には注入軟膏のほうが向きます。

内服薬・漢方:うっ血や炎症を体の内側から改善します。外用薬と併用できます。

主要な痔の市販薬を薬剤師が比較

ドラッグストアで手に入る代表的な製品を、成分と向き・不向きで整理しました。

製品ステロイド特徴・向く症状
ボラギノールA(注入軟膏)あり出血・痛み・はれをしっかり抑える。迷ったらまずこれ
ボラギノールM(軟膏)なしステロイドを避けたい人・軽い症状・比較的長く使いたいとき
プリザエース(注入軟膏)あり出血・かゆみが強いとき。血管収縮剤・かゆみ止め配合
ヒドロコートZ(軟膏)あり組織修復成分配合。切れ痔・外痔のケアに
乙字湯(漢方・内服)うっ血体質・繰り返す人の体質改善。外用薬と併用可

出血・痛みがつらいなら:ボラギノールA / プリザエース

どちらもステロイドと局所麻酔成分を含み、炎症・痛み・出血をしっかり抑えます。かゆみやうっ血が強いときは、血管収縮剤を配合したプリザエースが向いています。ただしステロイドは長期間の連用を避け、目安として1〜2週間使っても改善しなければ受診してください。

剤形は症状の出る場所で選べます。内外両用の注入軟膏、外側・皮膚表面向けの軟膏、奥の内側(内痔核)向けの坐剤があります。

プリザエースにも注入軟膏(内外両用)・軟膏(外側向け)・坐剤(奥の内側向け)の3剤形があります。症状の出る場所で選びましょう。

ステロイドを避けたい・軽い症状なら:ボラギノールM

ステロイドを含まないため、ステロイドを避けたい人や、比較的軽い症状の人に向いています。なお妊娠中・授乳中の使用は、必ず事前に医師・薬剤師に相談してください。

ボラギノールMには軟膏(外側・皮膚表面向け)と坐剤(奥の内側向け)があります。症状の出る場所で選びましょう。

繰り返す・体質から整えたいなら:乙字湯

外用薬でその都度抑えても繰り返してしまう場合は、うっ血や炎症を体の内側から整える漢方「乙字湯(おつじとう)」も選択肢になります。外用薬と併用できます。

タイプ別・おすすめの選び方フロー

迷ったときの目安をまとめました。

排便時に出血・痛みがある(いぼ痔) → ボラギノールA または プリザエースの注入軟膏

鋭い痛みと少量の出血(切れ痔) → ヒドロコートZ または ボラギノールAの軟膏

ステロイドを避けたい → ボラギノールM

何度も繰り返す → 乙字湯を併用しつつ生活改善を

こんな症状は市販薬ではなく受診を

次のような場合は、自己判断で市販薬を続けず、肛門科・消化器科を受診してください。

・便器が真っ赤になるほど多量に出血する
・黒っぽい便が出る、便に血が混ざる(大腸の病気の可能性)
・痛みやしこりが強く、出っ張りが戻らない(あな痔・脱肛の可能性)
・2週間以上使っても改善しない
・発熱や膿(うみ)を伴う

薬と一緒にやるべき生活改善

痔は「肛門のうっ血」が原因になることが多く、生活習慣の見直しが再発予防に直結します。薬を使いながら、次の3つを意識してください。

便秘を避ける:食物繊維と水分をしっかりとり、排便時に強くいきまないようにする。

お尻を温め、清潔に保つ:入浴や温水洗浄で血行を促し、うっ血をやわらげる。

長時間の座りっぱなしと冷えを避ける:同じ姿勢を長く続けない。

よくある質問(FAQ)

Q. 市販薬はどれくらい使ってよい?

A. まずは1〜2週間が目安です。それで改善しなければ、自己判断で続けずに受診しましょう。特にステロイド配合薬の長期連用は避けてください。

Q. 妊娠中・授乳中でも使える?

A. 妊娠・出産を機に痔になる方は多いのですが、使える薬は限られます。必ず購入前に薬剤師・医師に相談してください。

Q. 坐剤と注入軟膏、どちらがいい?

A. 出口付近(外痔核や複合タイプ)にも効かせたいなら注入軟膏が便利です。奥の内痔核が中心なら坐剤も選択肢になります。

まとめ

痔の市販薬は「タイプ × 剤形 × 成分」で選ぶのがコツです。迷ったら、内外どちらにも使えて出血・痛みに広く効くボラギノールAの注入軟膏が使いやすい選択です。ただし、多量の出血や、長期間治らない症状の裏には重い病気が隠れていることもあります。「たかが痔」と思わず、気になるときは薬剤師や医師に相談してください。


この記事を書いた人

メイ(現役薬剤師・調剤歴15年)

製薬会社の研究職から調剤薬局へ転職。岩手で管理薬剤師を経験後、東京でパート薬剤師として3人の子育てをしながら施設在宅メインで働いています。

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