関西生コン事件の弁護士・吉田美喜夫の経歴や家族などwikiまとめ【クロ現】

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吉田美喜夫弁護士は、半世紀にわたり労働法の研究と教育に身を捧げ、その知識と信念を胸に、現在は弁護士として活動する立命館大学名誉教授という異色の経歴を持つ法律家です。

特に、日本の戦後労働運動における重大な岐路と位置付けられる全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(連帯ユニオン関西生コン支部)を巡る一連の刑事事件、通称「関西生コン事件」においては、その労働基本権侵害の可能性について警鐘を鳴らし続ける中心的な論者の一人です。

クローズアップ現代では、『追跡“関西生コン事件” 相次ぐ無罪判決の背景に何が?』と題して、生コン事件に迫ります。

吉田美喜夫弁護士は、“関西生コン事件”にかかわる一人として、番組に出演しました。
そこで今回は、吉田美喜夫さんのプロフィール経歴とともに、人柄がわかるエピソードをまとめましたので、ぜひご覧ください。

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吉田美喜夫のプロフィール:労働法学者としての確固たるキャリア

  • 名前:吉田 美喜夫(よしだ みきお)
  • 生年月日:1949年11月5日
  • 出身地:岐阜県可児市
  • 学歴:
    • 岐阜県立多治見北高等学校卒業
    • 立命館大学一部法学部法学科卒業
    • 立命館大学大学院法学研究科民事法専攻博士課程前期課程修了
    • 立命館大学大学院法学博士
  • 経歴:立命館大学教授・名誉教授・京都弁護士会登録
  • 所属:京都法律事務所
  • 専門分野:労働法・タイ労働法
  • 主要な著書:『労働法Ⅱ』、『タイ労働法研究序説』、『検証・関西生コン事件』など
  • 趣味:読書・散歩
  • 嗜好:お酒好き、たばこは苦手
  • 家族:妻、娘

吉田美喜夫さんは1949年、岐阜県可児市に生まれました。
立命館大学法学部に入学したのは、1968年の学園紛争の渦中のことであり、この時代の社会情勢が彼の法学への関心と、社会正義への視点を形作ったと言えるでしょう。

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吉田美喜夫の家族

今月76歳を迎えられた吉田美喜夫さんには奥様と娘さんがいらっしゃいます。
奥様の情報は見つけられませんでしたが、娘さんの名づけのエピソードがありましたのでご紹介します。

吉田美喜夫さんの娘さんの名前が「亮子(りょうこ)」となったエピソードは、関西の労働法学界で「三羽烏」と呼ばれ、吉田美喜夫さんが親交を深めていた三人の恩師との特別な関係に基づいています。

「三羽烏」の文字を継ぐ

名付けの背景には、関西の労働法を牽引した片岡曻(かたおか のぼる)先生窪田隼人(くぼた はやと)先生、そして本多淳亮(ほんだ じゅんすけ)先生という、立命館大学法学部にとって非常に重要な三人の先生方の存在があります。

吉田美喜夫さんは、娘さんが生まれた際、この三人の先生方から文字を一字ずつもらう(勝手に使う)ことにしました。

「亮子」への決定

しかし、三人の先生の名前から一字を選び出す過程で、調整が必要となりました。

  1. 片岡曻(のぼる)先生の「曻」:女の子の名前としては「無理」と判断されました。
  2. 窪田隼人(はやと)先生の「隼」:これもまた、女の子の名前には難しいと判断されました。
  3. 本多淳亮(じゅんすけ)先生の「亮」:そこで、本多淳亮先生の「」という文字を選び、それに「子」を付けて「亮子」と名付けられました。

吉田美喜夫さんが単に名前を付けただけでなく、学問の道を歩む上で多大な影響を受けた恩師たちとの秘められた関係性を、娘さんの名前に込めたという、人間味と敬意に溢れた一面を示しています。

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学問の探究と経歴

  • 学歴と専門: 立命館大学の法学部および大学院で民事法を専攻し、1977年に博士課程を単位取得退学しました。その後、1981年から立命館大学の教員となり、長きにわたり労働法の研究と教育に従事しました。
  • 学内での要職: 法学部教授のほか、2004年からは大学院法務研究科(法科大学院)教授も兼任するなど、教育と研究の第一線で活躍。さらに、法学部長や学校法人立命館の理事・評議員など、大学運営の中枢も担いました。2011年に定年退職し、現在は立命館大学名誉教授の称号を持っています。
  • 研究への情熱: 当初は研究者になることを考えていなかったという吉田氏ですが、一度選んだ道では徹底した探究心を発揮。博士課程への進学も、周囲に反対意見もあった中で進学を果たしており、粘り強さ学問への情熱を感じさせます。

主要な著作活動:教育と国際比較研究

吉田氏の学術的な功績は、日本の労働法学の教育を支える教科書の編纂と、国際比較法の分野における先駆的な研究に集約されます。

  • 体系的教科書(共編著)
    • 『労働法Ⅰ』『労働法Ⅱ』(法律文化社): 名古道功氏、根本到氏らと共に編著者を務めた本書は、労働法分野における本格的な体系的教科書として広く用いられています。『労働法Ⅱ』では、個別的労働関係法を扱い、法律や判例の抽象的な説明に留まらず、労使関係の実態を踏まえて基本事項を解説しており、実務志向の研究者としての姿勢が反映されています。
  • 国際比較労働法研究
    • 『タイ労働法研究序説』(晃洋書房): 彼の最も特徴的な単著の一つが、このタイ労働法の研究書です。長年にわたり論文を書き溜めた成果をまとめたもので、日本の法学者によるタイ労働法に関する単著としては最初期のものとされています。タイの政治・経済情勢(クーデターや工業化政策)が労働法の展開に与えた影響を分析し、特に労働組合を規制する「団体法」の不安定性と、「保護法」(労働時間、賃金など)の継続性を指摘しています。これは、グローバル化が進む中で、非西欧諸国の法制度を理解する上で極めて貴重な研究蓄積となっています。
  • その他
    • 『人の国際移動と現代日本の法』(共著、日本評論社): 労働者の国際移動という現代的な課題にも焦点を当てた共著を通じて、労働法が直面する国際的な問題にも深く関わっています。
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弁護士・吉田美喜夫について

2011年10月、吉田氏は長年の教育・研究活動で培った知識と経験を携え、京都弁護士会に弁護士登録し、京都法律事務所に所属します。これは、法廷という実社会の場で、労働者の権利擁護という自身の専門とする分野に、より直接的に関わっていく決意の表れです。

人柄—教育者としての使命感と強い意志

吉田氏の人柄は、学者、教育者、弁護士というすべての活動に共通する強い探究心と、学生を想う教育者としての使命感に裏打ちされています。

総長・学長としての使命感

吉田氏は2015年1月から2018年12月まで、学校法人立命館総長および立命館大学長を務めました。就任時の言葉には、彼の教育者としての強い責任感が表れています。

  • 最大の責務: 「立命館での生活が私の人生そのものであり、立命館に育ててもらった」と感謝を述べた上で、「一人ひとりの学生が、『ああ、立命館に入学して良かった』と思えるような大学にすること」が、総長としての最大の責務だと明言しました。
  • 「選ばれる大学」へ: 厳しい時代にあっても、「生き残る」という消極的な姿勢ではなく、受験生や社会から「選ばれる大学」を目指すと、明確なビジョンを掲げました。また、「学生が就職した時にブラック企業で苦しむことがないように、大学時代に法的な知識を全ての学生が身に付けられるような取り組みが必要」とも語り、労働法学者としての視点を教育方針に反映させようとする姿勢を見せました。

学問への姿勢と日常

  • 粘り強い探究心: 大学院進学時に困難に直面しながらも、粘り強く学問を継続。特定の学説を深く掘り下げて探求を貫く真摯な姿勢は、彼のキャリアを支える核となっています。
  • 日常の過ごし方: 専門分野では鋭い論理を持つ一方、趣味は読書散歩という、思索を深める静かな時間を大切にされています。
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「関西生コン事件」—労働基本権への挑戦

吉田氏の弁護士活動において、最も重要な関与の一つが、関西生コン事件を巡る闘いです。

  • 問題の核心: この事件を憲法第28条が保障する労働基本権への重大な挑戦と捉え、労働法学者として警鐘を鳴らし続けています。
  • 主張の根拠: 問題とされている組合の行為は、産業別組合が労働条件を守るために行う正当な団体行動の枠内にあると主張。これを安易に刑事罰の対象とすることは、労働組合法の保護を空洞化させる危険性があると指摘しています。
  • 著作を通じた検証: 事件の検証と提言を目的とした書籍**『検証・関西生コン事件』の編著にも携わり、判決が労働運動の歴史や産業別労組の構造に対する根本的な理解を欠いている**と批判しています。

まとめ


吉田美喜夫さんは、大学総長を務めるほどの教育者としての実績と、労働法の大家としての深い学識、そして労働者の権利を守り抜く強い正義感を兼ね備えた法律家です。

彼にとって「関西生コン事件」への関与は、単なる弁護活動に留まらず、日本国憲法が保障する労働者の権利と自由を、歴史と法律の観点から守り抜くという、学者人生の集大成とも言える使命なのです。
その活動は、今日の労働を巡る厳しい状況の中で、労働者の権利保障の重要性を私たちに再認識させてくれます。

そして、学者として培った労働法の深い専門知識を基盤に、労働組合の活動に対する刑事的な介入に対し、労働者の権利保障の視点から強く問題提起を続けている、日本の労働法学界と法曹界を繋ぐ重要な人物です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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