福井県小浜市。
かつて「御食国(みけつくに)」として朝廷に食を献上した歴史を持つこの町に、今、全国から「幸せ」を求めて人々が集まる場所があります。
里山ののどかな風景に溶け込む明治築の古民家、『古民家の宿 こはる』。
ここは、波乱万丈な人生を歩んできた夫婦が、故郷の魅力と家族の絆を形にした、温もりあふれる宿です。
都会への憧れから、故郷の再発見へ
店主の小田伸子さん(66歳)は、小浜市の里山で生まれ育ちました。若い頃の彼女にとって、静かすぎる故郷は少し退屈な場所に映り、「もっと広い世界を見たい」という一心で、18歳の時に東京の短大へ進学しました。
東京での生活、結婚、そして2人の娘の誕生。
しかし、人生は平坦ではありませんでした。
伸子さんは離婚を経験し、女手一つで娘たちを育てます。
飲食店などで懸命に働き、家族を守り抜いた日々。
そのバイタリティこそが、現在の彼女の明るさの源泉となっています。
一方、鹿児島出身の夫・幸紀さん(67歳)もまた、壮絶な過去を背負っていました。
若くして妻を亡くし、シングルファーザーとして3人の子供を育て上げましたが、長男を病で亡くすという深い悲しみを経験します。
そんな傷を持つ二人が出会ったのは、人生の後半戦でした。伸子さんは幸紀さんのすべてを受け入れ、幸紀さんもまた、太陽のように明るい伸子さんと共に歩むことを決め、7年前に二人は結婚しました。
宿の名に込めた、最愛のおばあちゃんの記憶
宿の名前『こはる』には、伸子さんの原点とも言える温かい思い出が込められています。
その由来は、伸子さんが幼い頃に大好きだった祖母・小春(こはる)さんの名前です。
おばあちゃん子だった伸子さんにとって、小春さんはいつも元気で明るく、歌を歌って自分を励ましてくれた太陽のような存在でした。
宿を開くにあたり、「小春おばあちゃんのような明るさで、お客様を元気にしたい」「おばあちゃんの家に遊びに来た時のように、心からくつろいでほしい」という願いを込めて、この名を付けたのです。
古民家が教えてくれた「本当の豊かさ」
転機が訪れたのは、伸子さんが高齢の両親を支えるために頻繁に小浜へ帰省するようになったときのことです。
かつては「何もない」と思っていた里山が、今の伸子さんの目には、何物にも代えがたい「宝物」として映りました。
「こんなに美しい場所だったんだ。この空気、この静けさ、そして両親が守ってきたこの家……。」
伸子さんは幸紀さんと共に、故郷へのUターンを決意します。
明治時代に建てられた実家を改装中、100年以上の時を耐え抜いた立派な梁(はり)と柱が姿を現しました。
その重厚な佇まいに圧倒された伸子さんは、「この素晴らしい家を、多くの人に見てもらいたい。そして父と母との暮らしを通じて里山の豊かさを伝えたい」と決意。
2023年の冬、1日1組限定の宿をオープンさせました。
「幸せじぃ」に会いたい!大ブレイクの秘密
伸子さんが付けたキャッチフレーズは、「幸せじぃのいる宿」。
同居する92歳の父・正幸さんのことです。
当初は料理を売りにするつもりでしたが、いざ始まると、宿泊客の多くが正幸さんと、93歳の母・道子さんとの交流に深い感動を覚えるようになりました。
- 「幸せじぃ」正幸さん: 穏やかな笑顔で客を迎え、里山の知恵や昔話を語る。
- 母・道子さん: 伸子さんと共に、長年培ってきた手料理の技で客をもてなす。
都会で疲れを感じている人々にとって、仲睦まじく暮らす高齢夫婦の姿は、自分たちの未来への希望や家族の温もりを思い出させてくれる存在です。今や「幸せじぃに会いたい!」という予約が後を絶ちません。
若狭の旬を味わう、至福の食体験
もちろん、料理も絶品です。元飲食店勤務の伸子さんと、それを支える幸紀さんが、小浜の豊かな食材を振る舞います。
| 食材のカテゴリー | 主なメニュー例 |
| 地場産のお肉 | 脂の甘みが特徴の「若狭牛」のステーキやしゃぶしゃぶ |
| 海の幸 | 高級魚「若狭かれい」、旬の地魚のお刺身 |
| 里山の恵み | 自家製米のご飯、道子さん直伝の煮物、季節の山菜 |
特に、家族で育てた自家製米を土鍋で炊き上げたご飯は格別。囲炉裏を囲み、伸子さん夫婦や「幸せじぃ」と語らう夕食は、一生の思い出となります。
『古民家の宿 こはる』ご利用案内
宿の情報とアクセス
- 【施設名】 古民家の宿「こはる」
- 【住所】 〒917-0356 福井県小浜市上田(かみた)41-1 Google マップで見る
- 【電話番号】 090-4028-2782
- 【アクセス】
- 公共交通機関でお越しの方: JR小浜線「小浜駅」よりタクシーまたはレンタカーでの移動が便利です。【公式サイト】
- お車でお越しの方: 舞鶴若狭自動車道「小浜IC」より約15〜20分。のどかな田園風景が広がる里山エリアに位置しています。
【宿泊料金】
こちらの宿は1日1組限定(2名〜10名)の貸切スタイルとなっており、宿泊プランや人数によって料金が変動します。
1泊2食付き・大人1名あたりの目安(1日1組限定・貸切)
- 平日:22,000円(税込)〜
- 休日・休前日:27,360円(税込)〜
※料金は季節や利用人数、提供される料理の内容(若狭牛プラン、旬の魚介プランなど)によって変わる場合があります。
※1日1組限定の貸切となるため、詳細な見積もりや空室状況については、公式サイトの予約フォームまたは直接お電話での確認をおすすめします。
公式サイト・予約
宿のこだわりや、旬の食材を使った料理の詳細、最新の空き状況については公式サイトをご確認ください。
【公式サイト】 https://koharu-guesthouse.jp/
結びに:夫婦で奏でる、第二の人生のハーモニー
幸紀さんは、鹿児島から見知らぬ土地へ移住し、伸子さんを隣で支え続けています。「伸子さんの明るさに救われた」と語る幸紀さんにとって、この宿は新しい家族と共に生きる喜びそのものです。
伸子さんは言います。「人生、いろいろありました。でも、今こうして両親と一緒に、幸紀さんと一緒に、お客様に『ありがとう』と言っていただける。これが私の本当の幸せです」
傷ついた心を癒やし、明日からまた頑張ろうと思わせてくれる「心のふるさと」。
あなたも「幸せじぃ」の笑顔に会いに、小浜の里山へ出かけてみませんか?
最後までお読みいただきありがとうございました。

