2024年の能登半島地震をはじめ、大規模地震のたびにクローズアップされるのが、建物の基礎や地盤の損傷リスクです。
NHKの「クローズアップ現代」で専門家として出演された東京科学大学の田村修次教授は、この「足元に潜む基礎リスク」を長年研究してきた第一人者です。
本記事では、JR東日本での実務経験を持つ異色の経歴や、現場主義に基づくその人柄、そしてご自宅の基礎リスクを把握するための具体的なチェックポイントを、番組の内容に関連付けてご紹介します。
田村修次教授のプロフィール・経歴・業績
| 項目 | 詳細 |
| 所属・現職 | 東京科学大学 環境・社会理工学院 教授 |
| 学歴 | 東京工業大学大学院 修士課程 修了 |
| 専門分野 | 建築構造・材料、地盤工学、構造動力学、耐震工学 |
| 研究テーマ | 大地震時の杭基礎の耐震設計法、液状化が基礎構造に及ぼす影響の解明 |
| 受賞歴 | 日本建築学会賞(論文) (2021年) |
田村教授の研究者としてのキャリアは、実務経験に裏打ちされた異色の経歴を持っています。
| 期間 | 出来事 |
| 1991年 | 東京工業大学大学院修士課程修了後、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)に入社。鉄道構造物に関する実務経験を積む。 |
| 1996年 | 東京工業大学にて博士(工学)を取得。 |
| 1996年以降 | 科学技術庁防災科学技術研究所、信州大学、京都大学防災研究所などを経て研究を深化。 |
| 2024年10月 | 東京科学大学 環境・社会理工学院 教授(現職)。 |
田村修次教授の人柄を裏付けるキャリア:現場主義と実直さ
教授は大学院修了後、すぐに研究の世界に進まずJR東日本に勤務された経験があります。
この大規模インフラの実務経験は、単なる机上の理論に留まらず、「現場で何が起きるか」「実際に構造物がどのように振る舞うか」という実務的な視点を重視する研究姿勢に繋がっています。
基礎という目に見えない部分の研究において、現場での経験に基づいた実直さと、理論と実務を統合して考えるバランス感覚が、教授の大きな強みとなっています。
田村 修次 教授の人柄がうかがえるエピソードと特徴
田村教授の専門分野である「基礎・地盤」は、派手さはないものの、建物の安全性の根幹を支える非常に重要な領域です。
その研究姿勢や経歴からは、実直さ、先見性、そして現場を重視する姿勢が強くうかがえます。
1. 「見えないリスク」をあえて問いかける専門家としての使命感
NHKの「クローズアップ現代」出演や、多数の論文を通じて、教授が一貫して取り組んでいるテーマは、地中深くにある、普段は見えないリスクです。
阪神・淡路大震災や東日本大震災、そして能登半島地震など、大規模地震のたびに、教授は現場に足を運び、被災した建物の基礎や地盤の損傷状況を詳細に調査されています。特に、建物は無事に見えても、地中の杭が破断していたり、基礎が損傷している「見えない被害」をいち早く指摘し、そのメカニズムを解明されてきました。
研究者として、社会に潜む危険を見過ごさず、それを一般の人々にもわかりやすく伝え、対策を促すという強い使命感と社会貢献意識を持っていることがうかがえます。
2. 次世代を育てる教育への熱意
教授は京都大学、東京工業大学を経て東京科学大学で教鞭をとられており、多くの優秀な建築構造や地盤工学の研究者を育成されています。
研究室の紹介やインタビューなどでは、学生の自主性を重んじつつも、基礎構造の重要性や社会への影響を熱心に説かれている様子が伝わってきます。専門的な知見を、次世代に正しく、そして熱意をもって継承しようとする教育者としての側面も強いです。
クローズアップ現代出演の核心:基礎リスクの現実
田村教授は、NHKの「クローズアップ現代」で「あなたの家は大丈夫? 足元に潜む“基礎リスク”」というテーマで、建物の基礎に潜む新たなリスクについて専門家として解説されました。
能登半島地震で見えた基礎被害と都市部のリスク
建物本体の耐震性能が向上する一方で、大地震で地盤の液状化や揺れによって杭基礎が破断したり、基礎自体が損傷したりする被害が顕在化しています。
また、都市部の埋立地や軟弱地盤の上に建つ家屋は、地震の際に基礎が不均等に沈下する「不同沈下」のリスクが高いと指摘されています。
ご自宅の基礎リスク把握のためのチェックリストと対策
番組を観た視聴者向けに、教授の提言に基づくご自宅の基礎リスクを把握するための具体的なチェックリストと対策をご紹介します。
| 項目 | 確認内容とリスクの目安 | いますぐできる対策 |
| 地盤リスク | ハザードマップで液状化危険度や、過去の地盤履歴(沼地、埋立地など)を確認。 | リスクが高い場合、専門家による地盤調査を検討。 |
| 室内傾斜 | ドアの開閉が悪い、床に置いたビー玉が転がるなどの異変がないか。 | 傾斜が見られる場合、建築士による不同沈下診断を依頼する。 |
| 基礎の損傷 | 基礎のコンクリート部分に幅0.3mm以上のひび割れがないか。 | 小さなひび割れは補修材で埋めて水の侵入を防ぐ(鉄筋の錆びを防ぐ)。 |
地震時の基礎リスクを解明!田村修次教授の経歴プロフまとめ【クローズアップ現代】まとめ
田村修次教授は、JR東日本での実務経験と長年の研究を通じて、建物の「足元」に潜むリスクを追求し続けています。
教授の知見は、「目に見えない基礎・地盤の危険性」を明らかにし、私たちに警鐘を鳴らすものです。
特に大地震が懸念される現代において、教授が提唱する液状化や杭基礎の耐震設計に関する研究は、今後の建築安全基準を支える礎となります。
番組をご覧になった方は、ぜひこの機会に、ご自宅の基礎リスクをチェックし、適切な対策を講じてください。教授の研究と提言は、災害から命と財産を守るための、最も重要な羅針盤となるでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。

