今回の舞台は、青森県八戸市。
故郷を元気にしようと、地元のフルーツをたっぷりと使ったパン屋さんを始めた岩織悠紀子さん(47歳)と、その夢を支える夫の好信さん(51歳)の物語です。
人生の転機をいくつも乗り越え、家族愛と地域への想いを形にした『もりぱん』の心温まる物語と、ぜひ一度は味わいたい絶品パンの魅力をご紹介します。
運命の出会いと、パン作りの温かい原点
八戸市出身の悠紀子さんは、岩手県の短期大学で栄養学を学んだ後、八戸に戻りますが、交通事故で両足を骨折するという大きな試練に直面します。
しかし、その入院中、運命の出会いが訪れました。
リハビリを担当することになった理学療法士が、現在の夫である好信さんだったのです。
二人はリハビリを通して交際をスタートさせ、悠紀子さんの怪我が完治した2005年6月に結婚。
好信さんの献身的なサポートがあったからこそ、悠紀子さんは困難を乗り越えることができました。
結婚後、4人のお子さんに恵まれた悠紀子さんは、子育てをしながら好信さんの家業である果樹園を手伝います。
湊の商店街で育った悠紀子さんにとって、内陸部・南郷区の緑豊かな農園は新鮮でした。
そこで出会った義母の作る麦餅や、畑で採れるリンゴのおいしさに感動したことが、パン作りのきっかけとなります。
そのリンゴを使ってアップルパイを作り、家族やご近所さんに振る舞ったところ、これが大絶賛!
みんなの喜ぶ顔を見た悠紀子さんは、この「人を笑顔にする喜び」を本格的な仕事にしようと決意。
子育ての忙しい合間を縫い、専門的な知識と技術を学ぶため、月に1回、わざわざ東京の製菓教室へ通い始めました。
家族の絆:「森のおかしやさん」から「もりぱん」へ
パン職人への道を歩み始めた矢先、最後の授業の前日に東日本大震災が発生。
悠紀子さんの実家も津波の被害に遭い、変わり果てた故郷を目の当たりにします。
そんな八戸市で、震災からわずか4ヶ月で再開した復興のシンボルが「館鼻岸壁朝市」でした。
「故郷の八戸を元気にするお手伝いがしたい!」と強く願い、悠紀子さんは朝市で自家製パンの販売をスタートさせます。
この朝市での事業の原点となる屋号が、「森のおかしやさん」です。
この温かい名前は、当時まだ幼かった長男の圭太くんが付けてくれたもの。
家族が暮らす自然豊かな南郷の「森」と、悠紀子さんが作る「おかし」を組み合わせたこの名前は、まさにご家族全員の夢と絆の象徴となりました。
朝市で評判を呼び、次第に道の駅からも声がかかるようになり、悠紀子さんの情熱はさらに燃え上がります。
長年理学療法士として地域の人を支えてきた夫・好信さんも、妻の夢を全面的に支えることを決意。
理学療法士を辞め、自宅近くの直売所へ転職しました。
好信さんの後押しもあり、悠紀子さんは港の近くで空き家を見つけ、今年4月に待望の実店舗『もりぱん』をオープンさせました。
この『もりぱん』という名前は、元の屋号の由来を受け継ぎ、「森」と「パン」を組み合わせたものです。
美味しさの秘密:素材と製法への飽くなきこだわり
『もりぱん』のパンは、悠紀子さんの以下の3つの強いこだわりによって支えられています。
- 地元・家族の恵みを最大限に活かすこと:夫の実家である果樹園のリンゴやブルーベリーなど、地元の新鮮な旬のフルーツを惜しみなく使用。特に「農家がやっているパン屋なので、フルーツの盛りがいい」のが自慢で、素材の力を引き出すことに注力しています。
- 本格的な製法への探求:東京の製菓教室で習得した技術に加え、自家培養発酵による「もりパン酵母」を使用するなど、時間をかけて丹念に焼き上げ、小麦本来の風味とジューシーな味わいを追求しています。
- 「故郷を元気にする」という強い想い:お客様の「美味しい」という笑顔のために作り続けるパンは、八戸の復興と活力を象徴する存在となっています。
立ち寄りたい!『もりぱん』の絶品メニューと基本情報
『もりぱん』のメニューは約200種類ありますが、日替わりで約30種類のパンが店頭に並びます。
イートインスペースもあり、ゆっくりと味わうことができます。
おすすめメニュー(一例)
| メニュー名 | 特徴 | 価格(税込) |
| ブルーベリーデニッシュ | ご家族が生産したブルーベリーを使用。ジューシーで風味豊か。 | 320円 |
| 紅玉とクリームチーズのデニッシュ | 義実家のりんご「紅玉」を使用。甘酸っぱさが絶妙。 | 価格不明 |
| 焼きカレーパン | 自家製キーマカレーを包んで焼いた、食べ応えのある惣菜パン。 | 240円 |
| もっちり食パン | トーストとドリンクのセット(450円)でも提供。ふんわりもちもちの食感。 | (セット価格450円) |
| 季節のフルーツタルト | 旬のフルーツを贅沢に使用した彩り豊かなタルト。 | 620円~ |
イートインメニュー
- ほしおと定食(月替わり):1,400円
- もっちり食パンのトースト&ドリンクセット:450円(3種のジャム付き)
店舗情報
| 項目 | 内容 |
| 店名 | もりぱん |
| オーナー | 岩織 悠紀子さん(47歳) / 好信さん(51歳) |
| 所在地 | 青森県八戸市諏訪3丁目21-6(新井田川沿い) |
| オープン | 2024年4月18日 |
| 営業時間 | 11:00~17:00 |
| 定休日 | 日曜、月曜 |
| 特記事項 | 館鼻岸壁朝市やなんごう道の駅でも販売されることがあります。 |
フルーツの豊かな香りと共に、八戸の街に笑顔を届け続ける岩織さんご夫婦の物語は、12月6日放送の「人生の楽園」で紹介されます。
ぜひ、この物語に触れ、ご夫婦の愛情と家族の絆が詰まった「もりぱん」を訪れ、その美味しさと温かさに触れてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。

