八代目 市川染五郎(いちかわ そめごろう)さんは、歌舞伎界における最高峰の名門の一つ、高麗屋(こうらいや)の嫡流として生まれ、幼少の頃よりその非凡な才能を開花させてきた若手俳優です。
その端正な容姿と、年齢を超越した表現力は、歌舞伎の枠を超え、現代のエンターテイメント界で最も注目される存在の一人となっています。
彼の歩みは、伝統を重んじつつも、常に新しい表現を求める高麗屋の精神を体現しており、自らが目指す「唯一無二」の俳優像の実現に向けて、着実に、そして果敢に挑戦を続けています。
11月9日に放送された情熱大陸では、市川染五郎さんの美学、表現のルーツに迫りました。
この記事では、彼の美しさの源泉を深堀りします!
高校中途退学を決意するほど歌舞伎に魅せられている市川染五郎さん。
何に影響を受けているのか気になる方はぜひご覧ください。
市川染五郎の プロフィールと輝かしい血筋
- 名前:藤間 齋(ふじま いつき)
- 生年月日:2005年(平成17年)3月27日
- 出身地:東京都
- 学歴:幼稚園から高等部2年まで青山学院(3年進級前に退学)
- 屋号:高麗屋(こうらいや)
- 家族:父:十代目 松本幸四郎、祖父:二代目 松本白鸚(歌舞伎界を代表する名優の家系)、伯母:松本紀保、叔母:松たか子
- 趣味:車、ゲーム(特に『フォートナイト』のクリエイティブモード)
染五郎さんの家系は、歌舞伎の殿堂を支えてきた文字通りの名門です。父は、豪快な芸風と確かな演技力で時代劇『鬼平犯科帳』などでも知られる十代目 松本幸四郎さん。そして祖父は、現代演劇やミュージカルにも功績を残した偉大な名優、二代目 松本白鸚さんです。この三代にわたる卓越した才能と芸への情熱は、幼い頃から染五郎さんの感性を育んできました。
市川染五郎の経歴:三代揃い踏みの初舞台から襲名、そして高校中退
染五郎さんの芸歴は、まさに華麗の一言に尽きます。
初お目見えと初舞台:高麗屋三代の祝祭
- 2007年6月: わずか2歳で歌舞伎座『侠客春雨傘』において、「藤間齋」の名で初お目見え。
- 2009年6月: 歌舞伎座『門出祝寿連獅子(かどんでいおうことぶきれんじし)』の童、後に孫獅子の精として初舞台を踏み、四代目 松本金太郎を襲名。この舞台は、祖父、父、そして幼い染五郎さんによる「高麗屋三代」が揃い踏みする記念碑的な公演となり、歌舞伎ファンに強烈な印象を残しました。
八代目 市川染五郎襲名と映像分野での活躍
- 2018年1月・2月: 歌舞伎座にて行われた「高麗屋三代襲名披露興行」において、八代目 市川染五郎を襲名。襲名披露演目の一つである『勧進帳』では、源義経を演じました。
- 映像分野での実績: 2023年公開の映画『レジェンド&バタフライ』では森蘭丸を演じ、第47回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞。父・松本幸四郎さんが主演を務める時代劇『鬼平犯科帳』シリーズにも出演しています。
歌舞伎一筋への覚悟:高校中退の決断
- 2022年: 幼少から通っていた青山学院の高等部を中途退学するという大きな決断を下しました。これは、学業よりも舞台、芸の道に専念し、自らの芸を磨き上げる時間を最優先するという、彼自身の役者としての揺るぎない覚悟を示すものです。
唯一無二の創造性:変身と吸収を追求する表現哲学
染五郎さんが最も大切にし、公言しているのが「唯一無二(ゆいいつむに)」の役者になるという目標です。この目標を追求する上で、彼は時代やジャンルを超えた偉大な表現者たちから大きな刺激を受け、自身の表現哲学を築き上げています。
憧れの存在と歌舞伎への回帰
染五郎さんが具体的なインスピレーションの源として名前を挙げているのが、歌手の沢田研二さん、マイケル・ジャクソンさん、写真家の蜷川実花さん、デヴィッド・ボウイさん、そして平手友梨奈さんといった、ジャンルや性別を超えた独自の表現者たちです。
彼ら全員に共通するのは、「誰も真似できない、自分の世界を確立した表現者」であるという点です。
沢田研二さん(ジュリー): 1970年代の日本の音楽シーンを象徴するスーパースター。その耽美で革新的なビジュアル、衣装やパフォーマンスに対する徹底したこだわりは、染五郎さんに大きな影響を与えています。彼は熱狂的なファンを公言し、雑誌企画では沢田さんをオマージュしたビジュアルに挑戦しました。
マイケル・ジャクソンさん: パフォーマンス、ファッション、ミュージックビデオなど、全てにおいて革新的で世界に衝撃を与え続けた「キング・オブ・ポップ」の、その飽くなき探求心と完璧な自己表現力に感銘を受けています。
蜷川実花さん: 極彩色の世界観で知られる写真家・映画監督。彼女の独自の美意識と、唯一無二のクリエイティブな表現力は、染五郎さんの感性を深く刺激し、自身の美意識を研ぎ澄ますきっかけとなっています。
デヴィッド・ボウイさん:染五郎さんは、ある人から「似ている」と言われたことをきっかけに、ボウイについて深く調べ始めました。特に感銘を受けたのは、ボウイが親日家であり、その革新的な世界観の中に歌舞伎などの日本文化が色濃く影響を与えていたという事実です。「歌舞伎に影響を受けた世界的アーティスト」の表現が、どのように昇華され、世界に発信されたのかを探求するプロセスは、自身のルーツである歌舞伎の価値を再認識し、それを現代にどう活かすかという、彼のクリエイティブな課題への取り組みと深く結びついています。
平手友梨奈さん: 染五郎さんは、欅坂46(現・櫻坂46)のセンターを務めた平手友梨奈さんを「推しであり、憧れであり尊敬する人」と公言しています。最初に興味を持ったのは、その歌詞の奥深さからでしたが、やがて平手さんの自分をギリギリまで追い込むようなパフォーマンスが欅坂46のイメージを作っていると感じ、憧れるようになりました。 対談の機会を得た際、平手さんが持っていた「自分に満足したら終わり、そこからの進歩はない」という信念に深く共感し、自分も同じ気持ちでいたことを確認できたと語っています。これは、芸の道にゴールはないと考える歌舞伎俳優としての染五郎さんの修行への姿勢と完全に一致しており、ジャンルを超えた共鳴を見せています。
また、マイケル・ジャクソンの命日が6月25日で、平手友梨奈さんのお誕生日が6月25日ということで、市川染五郎さんは感慨深いものがあるようです。
表現とメイクアップの哲学:変身願望とコミュニケーション
染五郎さんは、ファッション誌のインタビューなどで、自身の表現哲学について言及しています。
彼は、人前に立つことへの苦手意識があると語りながらも、メイクや衣装を施すことで、単に自分を飾るのではなく「違う人になる」という感覚を得られると述べています。これは、歌舞伎の化粧(隈取)が役に入り込むための重要な要素であるように、彼にとってメイクアップが自己の苦手意識を克服し、役や世界観に憑依するための不可欠な「変身の装置」であることを示しています。
さらに、濃いメイクや新しい表現への挑戦は、自分と相手との間に「作用(化学反応)ができる」ためのツールであり、外部からの刺激をまるで「表に食べているようなもの」として貪欲に取り込み、自己の血肉とする姿勢を示しています。
エピソード:ゲーム好きが育む創造性
多忙な歌舞伎俳優としての顔を持つ一方で、染五郎さんはかねてよりゲーム好きであることを公言しており、これもまた彼の表現活動に影響を与えています。
彼は特に、人気オンラインゲーム『フォートナイト』の、プレイヤーが自由にコンテンツを創造できる「クリエイティブモード」を楽しんでいると語っています。
このバーチャル世界では、現実では不可能な巨大なものが登場したり、360度空間が変化するような革新的な演出が生まれており、この体験が、歌舞伎という伝統芸術における「空間の使い方」や「視覚的な表現」に、新しい着想をもたらしていると考えられます。彼は、ゲームという現代文化の最先端からも、歌舞伎の世界を広げるためのヒントを得ようとする、柔軟でモダンな感性を持っています。
八代目市川染五郎の美学:ゲームとボウイが育む唯一無二の表現【情熱大陸】まとめ
歌舞伎のサラブレッドとして生まれ、芸道にすべてを捧げる覚悟を示した八代目 市川染五郎さん。
現在20歳!
彼は、デヴィッド・ボウイさんらジャンルを超越した「唯一無二」の存在から影響を受け、自身の表現を深めています。
伝統と現代、歌舞伎とゲーム、古典とポップカルチャー。
この多様な要素を吸収し続ける彼の存在は、歌舞伎の未来を照らす希望です。
今後、彼の研ぎ澄まされた美意識と、高麗屋の重厚な芸が融合することで、どのような新しい感動と「唯一無二」の舞台が生まれるのか、その躍進から目が離せません!
最後までお読みいただきありがとうございました。

